研究課題
平成29年度は前年度に確立した新生児慢性肺疾患(CLD)モデル動物を用い、幹細胞を投与して慢性肺疾患の組織学的変化を検討した。投与する幹細胞は、従来の間葉系幹細胞(MSC)に加え、炎症性ケモカインCCL2を阻害するMSC(7ND-MSC)や、組織修復能を持つと言われているMultilineage-differentiating stress enduring cells (Muse細胞)とした。まず7ND-MSCを用いた検討を行った。酸素負荷後4日目に、7ND-MSCまたは通常のMSC(各1×105cells/個体)を右外頚静脈から投与し、負荷後15日目に組織評価を行った。肺組織は肺組織体積密度を、心臓は右室と心室中隔+左室の乾燥重量比(RV/LV+IVS)を測定した。その結果、肺組織体積密度は7ND群でMSC群と比較して、肺組織体積密度の改善を認め(7ND群30.20±0.70、MSC群26.22±0.95)、7ND-MSCの肺組織発達障害抑制効果が確認された。心臓では7ND群でRV/LV+IVSの改善を認め(7ND群0.21±0.01、MSC群0.29±0.01)、右室肥大の改善すなわち心臓の肺高血圧抑制効果を確認した。次にMuse細胞を用いた検討を行った。酸素負荷開始4日後に、Muse細胞またはMuse細胞を除外した残りのMSC(nonMuse細胞)(1×104cells/個体)を右外頚静脈から投与し、負荷後15日目に組織評価を行った。肺組織体制密度では、Muse群でnonMuse群と比較して肺組織体積密度の改善がみられたが、有意ではなかった(Muse群36.82±1.56、nonMuse群32.96±1.17)。心臓では、Muse群でRV/LV+IVSの改善を認め(Muse群0.21±0.01、nonMuse群0.25±0.02)、心臓の肺高血圧抑制効果を確認した。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度は慢性肺疾患モデル系を確立した。7ND-MSCとMuse細胞をもちいて慢性肺疾患および続発する肺高血圧症の評価に成功した。
平成30年度は確立した慢性肺疾患モデルを用いて、慢性肺疾患の改善の詳細な検討および中枢神経系への影響をすすめていく。最終年度であるため3年間の総括をおこない、得られたデータについて学会発表および論文投稿を行う。
平成29年度については前年度未使用額とH29年度支払い額を合わせて1,103,657円であった。見積額が少なく実支払額が1,102,142円であり1,515円の未使用額が発生した。未使用額の1,515円については平成30年度に試薬購入に使用する計画である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 13件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件)
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