研究課題/領域番号 |
16K15535
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高桑 徹也 京都大学, 医学研究科, 教授 (40244933)
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研究分担者 |
原口 亮 兵庫県立大学, その他の研究科, 准教授 (00393215)
今井 宏彦 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定助教 (40506466)
山田 重人 京都大学, 医学研究科, 教授 (80432384)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心筋発生 / ヒト胎児 / MRI / DTI |
研究実績の概要 |
ヒト成人の心臓壁は、心外膜、心筋層、心内膜の3層からなり、さらに心室の筋層は外層・中層・内層の3層に分けられることが分かっている。現在、実験動物においてDTIを用いた心筋の研究が多くなされているが、ヒト発生時・胎児期の心筋走行についての研究は十分なされていない。本研究では、京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センターが保有するヒト胎児ホルマリン固定標本の摘出心臓のT1強調画像とDWIを7TMRIを用いて撮像し、得られた画像をもとにソフトウエアMATLAB、DSI-Studio、ImageJなどを用い、心筋走行の特徴を追うこととした。頭殿長158mmの個体では、前壁と下壁の心筋線維は、内膜において断面と角度をなしているが、外膜へ向かうと次第に角度をもたなくなって断面と水平な向きになり、さらに外膜へ向かうと、また断面と角度をなし、その角度は大きくなっていくという結果が得られた。また、心筋走行を立体的に描写したものから、中隔が層構造になっていることも示唆された。 本研究では、前壁や下壁において、層構造になっているか否かの明らかな結果は得られていないので、今後、中隔以外の領域の心筋走行についても検討していくために、さらに多くの個体数を対象とする必要があると考えられる。また、より若い個体での検討を行い、最終的には、胎児期初期(受精後12週位)から拍動が開始される発生の初期までMRI撮像を行い、心臓の立体形状や心筋の走行の画像化、さらに発生段階毎に、筋力の方向性や収縮の同調性、順次性、流体力学的な血流動態のシミュレーションを行いたい。また、胎児期後期、新生児、小児の正常の心臓(解剖例)や心疾患例についても解析応用を試みたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎児期から摘出した心臓(CTL158mm)についてMRI撮像を行いDTIを用いて心筋の解析ができた。
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今後の研究の推進方策 |
7T MRI解像度の限界として、現在の大きさの心臓より小さいと解析が難しい可能性がある。 今後の展開として、胎児期初期の個体に遡り撮像を行い、可能な限り若い個体での解析を試みる。また、中隔以外の部位での解析も行う。より大きな個体での検討も考える。 MRIではなく、組織切片を用いて心筋走行を組織断面上で解析し、ソフトウエアを用いて走行を抽出すること、より解像度の高いMRI撮像を検討する、等を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通り施行し、6496円残となった。
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次年度使用額の使用計画 |
6496円については、当初と大きな変更をする必要ないと考えている。
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