研究課題/領域番号 |
16K15537
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
赤池 徹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20647101)
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研究分担者 |
南沢 享 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40257332)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺動脈 / 動脈管 |
研究実績の概要 |
本研究では、胎生期から新生児期の血中酸素濃度の変化が、肺小動脈及び動脈管の酸素感知機構を確立すると仮説を立て、この仮説を実証するために今後の研究を遂行していく。ヒトを含む哺乳動物は、母胎からの出生により劇的な環境変化に曝される。胎生期は、全身の血中酸素濃度は低い。しかしながら、出生後は、全身の血中酸素濃度は急激に上昇する。この酸素濃度の上昇により、肺小動脈は拡張し、動脈管は収縮する。しかし、肺小動脈及び動脈管がどのようにして酸素濃度の上昇を感知し、血管の拡張及び収縮を起こすのかは、いまだ不明な点が多い。この分子機序を明らかにすることは、肺高血圧症や動脈管開存症のような先天性の疾患の新たな治療戦略に結び付く可能性があり、非常に重要である。そこで、まず今後の研究で用いる培養細胞を作成する必要がある。肺小動脈や動脈管平滑筋培養細胞は、確立された細胞株が存在しないため、初代培養を用いる必要がある。ラット動脈管における初代培養細胞技術は、既に確立されているため、まず、ラット肺小動脈における初代培養細胞技術を確立させるべく、動物実験を遂行した。ラット肺小動脈から回収した培養細胞を、平滑筋マーカーであるαsmooth muscle actin抗体で免疫染色し、平滑筋細胞であることを確認した。平成29年度は、ラット肺小動脈及び動脈管平滑筋細胞に低酸素刺激を与えたのち、これら平滑筋細胞にどのような遺伝子発現の変化が認めるかを網羅的解析にて調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を遂行するために必要であるラット肺小動脈平滑筋培養細胞技術の確立に時間がかかったため、これら平滑筋培養細胞を用いた実験の進展が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で用いるラット肺小動脈及び動脈管平滑筋細胞の初代培養技術を確立したので、平成29年度は、ラット肺小動脈及び動脈管平滑筋細胞に低酸素刺激を与えたのち、これら平滑筋細胞にどのような遺伝子発現の変化が認めるかを網羅的解析にて調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度はラット肺小動脈平滑筋培養細胞技術の確立に時間がかかったため、網羅的解析を行うための実験動物購入費・飼育費、試薬及び消耗品購入費、網羅的解析費用を平成29年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は繰越金を含めた費用を、網羅的解析と解析により得られた因子の分子機序を解明するための実験に必要な実験動物購入費・飼育費、試薬及び消耗品購入費、網羅的解析費用として計上する。また一部を研究成果発表のための旅費として計上する。
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