研究課題
水疱性類天疱瘡は全身に表皮下水疱が多発する、最も頻度が高い自己免疫性水疱症であり、高齢者に好発する。高齢化社会を迎え、皮膚科診療においても、高齢者に好発する疾患が増加し、他科入院中の患者や在宅のねたきりの患者に、水疱性類天疱瘡を目にする機会も多い。本症患者の血清中には,皮膚の基底膜を認識する抗基底膜抗体が存在する。その自己抗体が認識する自己抗原として、BP230とBP180の類天疱瘡抗原が同定されたが、その後の研究から、病態形成に関与している自己抗原は、BP180と考えられている。申請者は、30年に渡り本症の研究を継続し、本症の診断法や治療法の進歩に貢献してきた。本症の診断は、病理検査による表皮下水疱、蛍光抗体法による抗基底膜抗体の検出、血中にあるBP180に対する自己抗体の検出で可能であるが、実際の臨床の場では、CLEIA法(近年ELISA法から変更)による抗BP180抗体検出が容易である。しかし、この検査でも外注検査であるため、少なくとも2-4日を要する。また、在宅患者の場合、診察は通常2週間ごとに行うので、水疱性類天疱瘡の結果がきて、内服治療を始められるのは、2週間後であり、患者本人はもとより、介護による水疱のガーゼ交換などの処置も大変である。そこで、より簡便に、ベットサイドで、迅速に、本症を診断する画期的な検査法の開発が臨床の場から望まれている。本研究は、簡便で短時間で結果の出る免疫クロマト法を用い、かつ簡単に採取できる唾液を検体として、画期的な抗BP180抗体検出法の確立を目指している。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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