研究課題/領域番号 |
16K15552
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大村 優 北海道大学, 医学研究科, 助教 (80597659)
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研究分担者 |
吉田 隆行 北海道大学, 医学研究科, 助教 (60374229)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神薬理学 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
精神疾患治療薬(セロトニン再取り込み阻害薬、非定型抗精神病薬など)の多くがセロトニン(5-HT)受容体に作用することが知られているが、その正確な作用機序は未だ明らかではない。5-HT受容体の種類は14種類と非常に多く、薬理学的手法による選択的操作にも限界がある。また、従来の遺伝子操作法では5-HT受容体の全種類を網羅するにはコストが大きすぎる。そこで本研究ではDNA二重鎖切断酵素であるCas9タンパクをcreタンパク存在下で発現する遺伝子改変マウスの脳に各5-HT受容体サブタイプの特異的配列に対応したsgRNAを発現するアデノ関連ウィルスベクターを注入することで簡便・低コストかつ脳部位特異的な5-HT受容体遺伝子ノックアウト法を確立することを目的とした。まずは表現型が捉えやすい5-HT1A受容体を標的とした。セロトニン起始核の1つで脳幹に位置する背側縫線核の5-HT1A受容体を刺激すると体温低下が生じることが良く知られている。そこでCas9発現マウスの背側縫線核に5-HT1A受容体遺伝子配列に対応するsgRNAを発現するアデノ関連ウィルスベクターを注入したところ、5-HT1A受容体作動薬投与に対する体温低下反応が減弱していることが確認できた。しかし、heteroduplex mobility assay (HMA)やミスマッチ切断酵素による解析では非常に薄い変異バンドしか得ることができていないため、遺伝子編集確認方法の改善を図る必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の計画は、5-HT1A受容体の機能損失を生じさせてその確認を行うことであった。「研究実績の概要」に記した通り、機能損失は確認できているがその確認方法で若干の困難に面している。そのため、おおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に記した問題を解決するために、脳サンプルからウイルス導入細胞のみを回収方法を探索する。まず、レーザーマイクロダイセクション法、FACSソーティング法を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
経費の節約による。
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次年度使用額の使用計画 |
経費の節約により生じた未使用額については、今年度の計画のためのゲノム編集確認用検査キットの購入に充てる。
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