研究課題
平成28年度は、5~12歳の被検者100名を募り、用意した視覚刺激動画をGazefinder上に提示する。研究1【標準データの作成】それぞれの動画に対する注視点検出データを収集して不注意症状を反映する指標を抽出し、性別・年齢帯ごとの標準データを作成する。これまでに、258名分のデータを収集した。研究2【再試験信頼性の検証】研究1に参加した被検者のうち20名を、同研究実施3か月後に再度Gazefinderを用いて注視点検出データを収集し、2回のデータのintraclass correlationから信頼性の高い指標を抽出する。これまでに8名分のデータを収集した。研究3【弁別妥当性の検証】研究2で抽出された指標と不注意症状の指標であるADHD-RSのスコアの相関を検討し、関連の強い指標を抽出する。現在、258名についての解析を進めている。研究4【診断予測妥当性の検証】研究3で抽出された指標から診断アルゴリズムを作成する。この検証は平成29年度に行う。258名のうち、男性は129名、女性129名、平均年齢は7.3歳(SD 1.9歳)であり、ほぼすべての被検者からデータを取得できた。データ取得率(動画提示時間に対する注視時間の比率)の平均は88%(SD 11%)であり、年齢がもたらす効果は認められなかったが(F=1.15, df=7, 250, p=.29)、性別には効果が認められ(F=6.79, df=1, 256, p=.01)、女性(91%)は男性(87%)よりも有意にデータ取得率が高かった
1: 当初の計画以上に進展している
平成28年度はデータ収集・計測に重点を置く一年間であったが、予定を上回る被検者数をあつめることに成功した。とくに研究1においては8歳以下で20例以上を確実に収集している一方、7歳で10例、12歳で8例と例数に若干の不足が見られていることから、全体としてみた場合「おおむね当初の予定のとおりである」と判断した。また、現在ADHD-RSデータの電子化を進めており、研究3,4の解析結果を平成29年度末に入手できる見込みは極めて高いと考える。
平成29年度もさらにデータ収集を継続する予定があるが、予定症例数を上回っていることから、症例数の不足の多い年齢層に絞って募集を続ける。また、研究補助員の助力も得ながらデータ入力、解析を鋭意すすめ、より大型の研究開発へとつなげていくことを念頭において作業に当たる。
現有の資材ならびに人的資源を有効に利用・配置し、またウェブを利用して被験者を募集したところ、想定よりも効率よく被検者を集めることができたためである。
平成29年度は解析に一層の労力を割くことが必要であるが、とりわけ想定していた以上に被験者が集まったことから、人件費に予定以上に多く充てる必要が生ずる。このため、平成28年度に予算を下回る使用であったが、平成29年度にその分を確実に本研究に充当することが求められる状況にある。
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Molecular Autism
巻: 7 ページ: 19
10.1186/s13229-016-0083-y