動物実験によって加齢が概日時計機能に異常をもたらすことが詳細に示されてきた。今回私たちは、行動の概日リズムにおいて重篤な異常が検出される高度認知症の後期高齢者を対象として、時計遺伝子発現に基づいた概日時計の機能評価を行った。具体的には、外因的概日時計調節因子が視交叉上核を介して末梢時計の制御に至る経路が正常に機能していることを調べるために、末梢の時計遺伝子発現リズム位相を確認した。すると、患者全てにおいて正常な概日位相が検出され、入力から末梢時計までの経路は正常に機能していることが示唆された。高度認知症の後期高齢者においても、入力から末梢時計までの経路は正常に機能している可能性が示唆された。
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