• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

コンフォメーション特異的PETプローブの探索

研究課題

研究課題/領域番号 16K15570
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

岡村 信行  東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40361076)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードαシヌクレイン / イメージング / PETプローブ
研究実績の概要

パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などのαシヌクレイノパチーの治療薬開発においては、αシヌクレインの脳内蓄積量をモニタリングするためのバイオマーカーの実用化が求められている。そこでαシヌクレイン蛋白を検出するためのPETプローブを開発する目的で、昨年度に引き続き、化合物のスクリーニングを実施した。パーキンソン病およびレビー小体型認知症の脳病理組織標本を用いて、研究室内で保有する300化合物の結合性を蛍光顕微鏡下で評価した。その結果、レビー小体を明瞭に染色する新たな化合物群を見出した。さらに化合物のαシヌクレイン蛋白線維との結合親和性を評価するため、これまでに見出したヒット化合物の一つを125Iで標識し、被検化合物による結合阻害実験を実施した。その結果、今回見出した化合物はナノモル濃度域でαシヌクレイン蛋白線維との高い結合性を示した。さらに被検化合物を18Fで放射性標識し、ヒト脳組織切片を用いてオートラジオグラフィーを実施した。その結果、レビー小体型認知症患者の扁桃体脳切片において強い結合が観察され、同化合物がナノモル濃度域でレビー小体と結合している可能性が示唆された。しかしながらアルツハイマー病患者脳切片において老人斑との結合も併せて確認されたことから、αシヌクレインPETプローブとしての結合選択性は不十分であると判断された。化合物の脳移行性についても検討したところ、投与2分後の脳内濃度は3%ID/g以上であり、既存のアミロイドPETプローブと同等の脳血液関門透過性を有していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

化合物スクリーニングにおいて、αシヌクレインとの結合性を有する化合物群を新たに見出すことができた。化合物は脳血液関門透過性を有することから、今後結合選択性を高めることで、生体用プローブとしての応用が可能ではないかと考えられる。

今後の研究の推進方策

引き続き化合物スクリーニングを実施して、プローブに適した候補化合物の探索を進める。同時にこれまでに見出されたヒット化合物をポジトロン核種で標識し、化合物の詳細な結合性を明らかにし、最適化を進める予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] [18F]-THK5351 PET correlates with topology and symptom severity in progressive supranuclear palsy.2018

    • 著者名/発表者名
      Brendel M, Schoneckerr S, Hoglinger G, Lindner S, Havla J, Blautzik J, Sauerbeck J, Rohrer G, Zach C, Vettermann F, Lang AE, Golbe L, Nubling G, Bartenstein P, Furukawa K, Ishiki A, Botzel K, Danek A, Okamura N, Levin J, Rominger A.
    • 雑誌名

      Front Aging Neurosci.

      巻: 9 ページ: 440

    • DOI

      10.3389/fnagi.2017.00440.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Correlations of 18F-THK5351 PET with post-mortem burden of tau and astrogliosis in Alzheimer's disease.2018

    • 著者名/発表者名
      Harada R, Ishiki A, Kai H, Sato N, Furukawa K, Furumoto S, Tago T, Tomita N, Watanuki S, Hiraoka K, Ishikawa Y, Funaki Y, Nakamura T, Yoshikawa T, Iwata R, Tashiro M, Sasano H, Kitamoto T, Yanai K, Arai H, Kudo Y, Okamura N.
    • 雑誌名

      J Nucl Med.

      巻: 59 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.2967/jnumed.117.197426.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Comparative binding properties of the tau PET tracers THK5117, THK5351, PBB3, and T807 in postmortem Alzheimer brains.2017

    • 著者名/発表者名
      Lemoine L, Gillberg PG, Svedberg M, Stepanov V, Jia Z, Huang J, Nag S, Tian H, Ghetti B, Okamura N, Higuchi M, Halldin C, Nordberg A.
    • 雑誌名

      Alzheimers Res Ther.

      巻: 9 ページ: 96

    • DOI

      10.1186/s13195-017-0325-z.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] アルツハイマー病理を標的とした分子イメージングプローブの開発2017

    • 著者名/発表者名
      岡村信行、原田龍一、古本祥三、中村正帆、谷内一彦,工藤幸司
    • 雑誌名

      日本薬理学雑誌

      巻: 150 ページ: 172-176

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 認知症を標的とした分子イメージングプローブ開発の現状2017

    • 著者名/発表者名
      岡村信行
    • 学会等名
      第32回日本老年精神医学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 認知症を標的とした分子イメージングプローブ開発の現状2017

    • 著者名/発表者名
      岡村信行
    • 学会等名
      第60回日本脳循環代謝学会学術集会
  • [図書] Neuroimaging Diagnosis for Alzheimer’s Disease and Other Dementias.2017

    • 著者名/発表者名
      Okamura N.
    • 総ページ数
      279
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-4-431-55133-1

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi