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2016 年度 実施状況報告書

正常機能を有するミトコンドリアDNAは放射線耐性に必要か

研究課題

研究課題/領域番号 16K15571
研究機関東京医科大学

研究代表者

福本 学  東京医科大学, 医学部, 特任教授 (60156809)

研究分担者 桑原 義和  東北医科薬科大学, 医学部, 准教授 (00392225)
鈴木 正敏  東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60515823)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードがん細胞 / 放射線療法 / 化学療法 / 交叉耐性 / ミトコンドリア / ミトコンドリア欠失細胞 / 分割照射
研究実績の概要

標準的放射線療法である2Gy/日、30日のX線を照射し続けても増殖する、臨床的放射線耐性(CRR)細胞をヒト由来の複数の細胞株とした。作用機序の異なる種々の一抗がん剤への感受性を解析したところ、全てのCRR細胞は、微小管脱重合阻害剤であるドセタキセル(DTX)に交叉耐性を示した。DTX抵抗性には、βチューブリンやP糖タンパクの高発現の関与が報告されているが、これらの関与はCRR細胞で否定された。
X線10Gy、1回照射後、あるいはDTX処理後にミトコンドリア(mt)由来の活性酸素種(ROS)が親株では検出されたが、CRR細胞ではほとんど検出されなかった。CRR細胞では親株に比べて細胞当たりのmtDNAコピー数が減少していることが分かった。そこで、mtが、がん細胞のX線及びDTX交叉抵抗性に関与しているのか否かを確認するために、mtDNA欠失細胞であるρ0細胞の樹立を試みた。HepG2、SAS、HeLa細胞からρ0細胞の樹立を試みた。臭化エチジウム処理によってSAS及びHeLa細胞から樹立することに成功した。なお、HepG2ではmtDNAの消失誘導は不可能であった。また、それぞれのCRR細胞から、ρ0細胞の樹立を試みたところ、いずれからもρ0細胞の樹立には至らなかった。しかし、形質維持のため2Gy/日のX線を半年以上照射していないHeLa-R細胞から、ρ0細胞を樹立することに成功した。SAS-ρ0及びHeLa-ρ0細胞は、X線1回照射及びDTXに抵抗性を示すものの、2Gy/dayのX線分割照射では、1月以内に死滅した。すなわちCRR細胞としての形質を示さなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ミトコンドリアの機能欠損細胞であるミトコンドリアDNA欠損細胞を複数樹立できた。これによって放射線および抗がん剤への耐性へのミトコンドリア機能の関与を解析できるツールを得ることができた。しかし、研究室の移動のために照射実験が長期的に不可能となったため。

今後の研究の推進方策

CRR細胞からρ0細胞の樹立を目指す。
HeLa-R-ρ0細胞がX線単回照射、DTX、また2Gy/dayのX線分割照射に抵抗性を示すのかを解析する。
放射線耐性の形質保持を目的として維持照射を続けているが、維持照射をしないで培養を続けた場合の耐性の変化とミトコンドリアの関与について検討する。維持照射休止によるエピジェネティックな変化と放射線耐性、ミトコンドリア代謝の関連を解析する。
今までに明らかになった解析結果を英文誌に発表する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [国際共同研究] イラン国立血液バンク(イラン)

    • 国名
      イラン
    • 外国機関名
      イラン国立血液バンク
  • [雑誌論文] The Involvement of Mitochondrial Membrane Potential in Cross-Resistance Between Radiation and Docetaxel2016

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara Y, Roudkenar MH, Suzuki M, Urushihara Y, Fukumoto M, Saito Y, Fukumoto M.
    • 雑誌名

      Int J Radiat Oncol Biol Phys

      巻: 187 ページ: 556-565

    • DOI

      10.1016/j.ijrobp.2016.07.002.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 低線量・低線量率放射線影響は解明できるか2016

    • 著者名/発表者名
      福本 学
    • 雑誌名

      日本原子力学会誌

      巻: 58 ページ: 41-44

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 放射線病理学:トロトラスト内部被ばく発がんから福島原発事故被災動物まで2017

    • 著者名/発表者名
      福本 学
    • 学会等名
      アイソトープ放射線薬学研究会
    • 発表場所
      ホテルメトロポリタン仙台(宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2017-03-25
    • 招待講演
  • [学会発表] The mechanisms of carcinogenesis induced by internally deposited radionuclides: thinking from Thorortrast cases2016

    • 著者名/発表者名
      福本 学
    • 学会等名
      Workshop: Mn-56 experiments and the results-Possibility of the small particle effects-
    • 発表場所
      南区民文化センター(広島県・広島市)
    • 年月日
      2016-12-09
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 被災した家畜や野生動物の線量評価と影響2016

    • 著者名/発表者名
      福本 学・鈴木正敏・漆原佑介・林 剛平
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第59回大会
    • 発表場所
      JMSアステールプラザ(広島県・広島市)
    • 年月日
      2016-10-27
  • [学会発表] 低線量放射線の健康影響に関する国内関連学会における研究の現状とこれからの連携のあり方2016

    • 著者名/発表者名
      福本 学
    • 学会等名
      第 53 回アイソトープ・放射線研究発表会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス(東京都・文京区)
    • 年月日
      2016-07-06
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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