研究課題
親細胞に比較してCRR細胞では、mtDNAコピー数減少、ATP量の減少、ミトコンドリアの鉄輸送に預かるmitoferrinの発現減少がみられた。さらにマイクロRNAのアレイ解析を行ったところ、CRR細胞においてmiR7-5pの発現亢進を認めた。miR7-5pの標的遺伝子を検索したところ、mitoferrinを含む複数のミトコンドリア関連遺伝子が含まれていた。mtDNAを欠失させたHeLa-ρ0およびSAS-ρ0細胞でATP量が減少していることも明らかとなった。そのため、CRR形質へのミトコンドリアの関与について検討を行うこととした。ρ0細胞では、ミトコンドリアに局在し抗酸化作用を有するMnSOD遺伝子の発現亢進が明らかとなった。しかしMnSOD以外の抗酸化酵素群の遺伝子発現については、親細胞に比べて両ρ0細胞で一定の傾向を示さなかった。酸化ストレスに対する感受性を調べたところ、活性酸素種のひとつである過酸化水素(H2O2)に対してρ0細胞が親細胞株に比べて高感受性を示した。ところが、H2O2を分解するカタラーゼ活性はρ0細胞の方が親株よりも高かった。また、ATPのエネルギーを用い細胞膜上のイオン交換に関与するATPaseの発現にも変化が見られた。そこで、細胞膜の膜電位を測定したところ、ρ0細胞においては細胞膜電位が減少していた。H2O2処理後の細胞内H2O2量の動きをHYDROPにて解析したところ、親株に比べ、ρ0細胞の内在性H2O2量の上昇するタイミングが早いことが判明した。以上から、ρ0細胞における酸化ストレスに対する感受性の増加は、内在性のカタラーゼ活性よりも細胞膜状態の違いによることが明らかとなった。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Medical Molecular Morphology
巻: 50 ページ: 195~204
10.1007/s00795-017-0171-x
Biochem Biophys Res Commun
巻: 490 ページ: 330-335
10.1016/j.bbrc.2017.06.044
Sci Rep
巻: 7 ページ: 2295
10.1038/s41598-017-02473-x
BBA Mol Cell Biol Lipids
巻: 1862 ページ: 658-665
10.1016/j.bbalip.2017.03.012
東北医科薬科大学研究誌
巻: 64 ページ: 39-48
10.1177/1010428317717718
巻: 64 ページ: 49-55