研究課題/領域番号 |
16K15572
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
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研究分担者 |
大内 憲明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90203710)
亀井 尚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10436115)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 癌 / 温熱療法 / ナノ粒子 / イメージング / 診断 / 治療 |
研究実績の概要 |
本研究では、ロッド状の金ナノ粒子(金ナノロッド)が高いX線吸収能を保持し、かつ光照射によって発熱する現象を利用することで、がんの検出(X線CT)と治療(温熱療法)の効果を同時に併せ持つナノ粒子造影療法の開発を行う。具体的には、(1)金ナノロッド造影剤を開発し、これを用いた高感度がん組織検出法の開発、(2)がん組織へ送達したナノ粒子への光照射による温度上昇効果(光熱療法)の検討、(3)光熱療法によるがん進展阻害効果の検討、を行う。 28年度は、金ナノロッド造影剤を開発するために、テトラクロロ金酸と水素化ホウ素ナトリウムを混合し、金ナノロッドナノ粒子合成の核となる種粒子を合成した。その後、種粒子、テトラクロロ金酸、硝酸銀、アスコルビン酸(還元剤)を混合し、金ナノロッドナノ粒子を作製した。さらに金ナノロッドナノ粒子にTetraethylorthosilicateを加え、金ナノロッドのシリカコーティングを行い、「金ナノロッドシリカ」を合成した。 次に、in vivo実験の基盤データを得るために、担がんマウスの作製に用いるがん細胞の温度感受性を40~70℃の温度条件下で調べた。その結果、56℃以上、5分間の熱処理において、顕著な細胞の致死効果が認められた。 さらに「金ナノロッドシリカ」への光照射による温度上昇効果(光熱療法)の検討を行った。合成した「金ナノロッドシリカ」は約700nmに光吸収ピークを保持しており、この波長付近のレーザー光を「金ナノロッドシリカ」に照射した結果、光熱反応が確認された。この光熱反応は細胞培養液の温度を56℃以上に上昇させ、細胞致死効果を発揮することが認められた。29年度はこれらのデータを基に、in vivo研究へ発展させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書では「金ナノロッドシリカ」粒子の合成とin vitroにおける粒子の物性評価を目指しており、計画の目的をおおむね達成しているため。
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今後の研究の推進方策 |
合成した「金ナノロッドシリカ」を用い、がんの検出(X線CT)と治療(温熱療法)の効果を同時に併せ持つナノ粒子造影療法の開発への展開を図る。
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