研究課題
本研究では、ロッド状の金ナノ粒子(金ナノロッド)が高いX線吸収能を保持し、かつ光照射によって発熱する現象を利用することで、がんの検出(X線CT)と治療(温熱療法)の効果を同時に併せ持つナノ粒子造影療法の開発を行う。具体的には、1.金ナノロッド造影剤を開発し、これを用いた高感度がん組織検出法の開発、2.がん組織へ送達したナノ粒子への光照射による温度上昇効果(光熱療法)の検討、3.光熱療法によるがん進展阻害効果の検討、を行う。平成28年度は、シリカコーティングした金ナノロッドナノ粒子(金ナノロッドシリカ)を作製した。金ナノロッドシリカは約700nmに光吸収ピークを保持しており、この波長付近のレーザー光を「金ナノロッドシリカ」に照射した結果、光熱反応が確認された。この光熱反応は細胞培養液の温度を56℃以上に上昇させ、細胞致死効果を発揮することが認められた。以上の結果を受け、平成29年度は金ナノロッドシリカのin vivo研究への応用を行った。具体的には、マウスの皮下にがん細胞を移植し、近傍のリンパ節へ転移するマウスを作製した。このマウスの腫瘍近傍に金ナノロッドシリカを注入したところ、転移リンパ節へ輸送される様子が、X線CTで造影された。さらに金ナノロッドシリカが転移リンパ節に送達された後、700nmの近赤外レーザーを照射したところ、光熱反応によって転移リンパ節の温度が上昇し、リンパ節内のがん細胞を死滅させることに成功した。温熱療法後のリンパ節組織を摘出し、病理解析した結果、金ナノロッドシリカはがん細胞の近傍に局在し、光熱変換反応により温熱効果を及ぼしていたことが示唆された。
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ファルマシア
巻: 54 ページ: 36-40
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 7509
10.1038/s41598-017-06534-z
http://www.medphys.med.tohoku.ac.jp/gondalab/index.html