研究課題/領域番号 |
16K15578
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
櫻井 良憲 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (20273534)
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研究分担者 |
高田 卓志 京都大学, .複合原子力科学研究所, その他 (60444478)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 硼素中性子捕捉療法(BNCT) / ビームプロファイル / 放射線着色 / 粒子線治療 / 放射線計測 / 品質保証/品質管理(QA/QC) / 医学物理 / 放射線工学 |
研究実績の概要 |
当初は、6月頃に予定されていた京都大学研究炉(KUR)の運転再開後、重水中性子照射設備において、昨年度選定した放射線着色物質を混入する母材および放射線着色物質に基づく試料に対して中性子照射実験を行い、低エネルギーおよび高エネルギー中性子に対する特性評価を行った後、着色パネルを作成する予定であった。そして、この特性評価実験結果をもとに、着色パネルに使用する母材および放射線着色物質ならびにパネルの厚さ等の最適化を行い、これに合わせて、着色パネルスキャナを作製する予定であった。 しかしながら、KURの運転再開は8月末まで遅延し、さらに運転か再開した矢先の9月中頃に重水中性子照射設備照射室内の重水給排水系に不測の故障が生じたため、当該装置の修理・調整が必要となった。KURの運転は10月末に再開したが、本設備を利用する共同利用が混み合うこととなり、本研究に係る実験がほとんど実施できなかった。 このような状況下で、シミュレーション計算を主体に着色パネルスキャナの詳細設計のみを進めた。使用する可視光光源、コリメータユニット、等の仕様の詳細を決定した。シミュレーションをもとに、20cm×20cmの着色パネルで空間分解能5mmとすることを想定して、40×40の受光部を採用することとした。また、光源側および受光側に40×40の孔の開いたコリメータユニットを配置することとした。本装置を簡略化した試作機を作成し、γ線照射を行った試料を用いて、本試作機の特性評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「研究実績の概要」にも記述したように、平成29年度はKURの運転再開が遅れ、かつ、重水中性子照射設備の故障が生じたため、予定していた熱・熱外、高速中性子に関する照射実験が出来なかった。その結果、本研究費の期間延長を申し出ることとした。 その一方で、着色パネルスキャナについては、実機を簡略した試作機を作成し、その有効性の確認を行うことができた。 以上のことより、進捗状況は区分(3)と判断した。平成30年度は、KURの運転再開後すぐに、照射実験を開始するとともに、着色パネルスキャナー実機の製作を開始する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、まず、KURの運転再開後すぐに、着色試料に対する中性子照射実験を行い、着色パネルスキャナーの詳細仕様を確定する。その後、着色パネルスキャナー実機の製作を開始する予定である。これまでのシミュレーションを主体にした検討からRGB変色可能なLEDパネルを可視光光源はとし、48ch受光素子アレイをモーター駆動により走査する構造とする。また、光源側および受光側に40×40の最適化した径の孔の開いたコリメータユニットを配置する。 着色パネルスキャナーの作製と並行して、着色試料に対する低エネルギーおよび高エネルギー中性子の照射実験を行い、各成分に対する着色物質の詳細を決定し、着色パネルを作成する。作成した着色パネルは重水中性子照射設備およびγ線照射装置において、中性子およびγ線照射実験を行う。比較のため、放射化箔およびTLDによる線量評価も行う。照射後、着色パネルスキャナにより読取・データ処理を行う。取得したデータをもとに解析を行い、本手法の可能性、評価精度、有効性、適用範囲、等の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度はKURの運転再開が遅れ、かつ、重水中性子照射設備の故障が生じたため、予定していた熱・熱外、高速中性子に関する照射実験が出来なかった。また、着色パネル、パネルスキャナー等の作成もほとんどできなかった。その結果、本研究費の期間延長を申し出ることとした。 平成30年度は、KURの運転再開後すぐに、本研究を進める予定である。
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