研究課題
我々は、二酸化チタンをナノ粒子化したチタン過酸化物が、X線照射によって大量のヒドロキシラジカルを発生することを発見し、国際調査を行った上で、新たな放射線増感剤として米国、欧州、中国等、世界5か国以上で国際特許(特許2010-032055、PCT/JP2011/ 53348)を押さえたが、本申請では、更なる分子機序の解明を基に世界初のナノメタル放射線増感療法を開発し、膵臓癌などの難治癌に対する新たな治療戦略を提案事である。具体的には、① in vivo(細胞内、動物実験)での放射線増感を達成する最適メタルナノ粒子の原子構造設計の検討した結果、その作成法により、ラジカル発生の程度が異なることを見出した。その為異なる製造過程の数種の過酸化チタンナノ粒子を検討材料とした。② Reactive Oxygen Species(ROS)生成のメカニズムの探求とin vitro、 in vivoでの効率化の検討した結果、最終的に細胞内では過酸化水素が多量に発生することに着目できた。本研究計画は、過酸化チタンナノ粒子による放射線増感効果を利用した抗腫瘍効果を明らかにするため、動物実験による放射線増感効果の評価をまず実施したが、再現性良く、過酸化チタンナノ粒子を局所注入した際に腫瘍増殖抑制効果を判定基準とした時の放射線増感効果が得られることを確認できた。さらに過酸化チタンナノ粒子に関して局所注入という投与経路において、同材料は小動物の生育に関して体重減少などの明らかな毒性は認めらておらず、今後長期間の毒性の有無などのさらなる検討は必要なものの、これまでの研究の成果の中では有効な併用療法であることが確認できた。
2: おおむね順調に進展している
第一の目標である、過酸化チタンナノ粒子で放射線増感療法が確認できた。またその種類によって効果や分子機序が異なることを見出し、最適化への足掛かりを得た。細胞内でのROSの発生やその種類に関しても有用な実験結果を得ており、局所注入における毒性が想定範囲兄であることを確認できている。これらの結果を総合して計画としておおむね順調に経過していると判断できる。
ナノ粒子の膵癌細胞などに対する選択性を向上させるために粒子の表面に抗原を付着させる方法を再検討中である。実際にはEGFレセプター抗体などを検討しているが、選択性向上に寄与するための設計を検討中である。
過酸化チタンの製造方法によるROSの発生内容、発生程度が異なることに気付いたが、その評価方法の検討に一部時間を要したため、物品費を購入と使用が一部遅延した。現段階では一定の知見を得たので、次年度以降計画に組み込む予定である。
ROSの判定方法などのIn vitroの検出キットなどを購入し、またフローサイトメーターでの識別化も予定している。
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すべて 雑誌論文 (20件) (うち査読あり 20件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 図書 (3件)
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