研究課題/領域番号 |
16K15584
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田中 憲一 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70363075)
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研究分担者 |
遠藤 暁 広島大学, 工学研究科, 教授 (90243609)
梶本 剛 広島大学, 工学研究科, 助教 (70633759)
櫻井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (20273534)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 医学物理学 / 中性子捕捉療法 / 放射線治療物理学 / 放射線技術学 / 放射線科学 / 照射場設計 / 同位体線源 |
研究実績の概要 |
前年度に決定した、現在のホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いられている線量条件(腫瘍に投与すべき線量・正常組織の耐容線量)に適した中性子エネルギーである熱(0.5eV以下)、熱外(0.5eVから10keV)領域の中性子を得るための体系検討を行った。 まず解析的な運動学計算により、発生する中性子は21-24keVを主成分とし、Beとの衝突を5~40回程度して10keV~0.5eVの熱外領域まで減速されると評価している。これに必要なBeの厚さは、重心系等方散乱と仮定すれば輸送平均自由行程3.5cm程度となる。これを前提に、Beを中性子発生ターゲットと中性子減速体に兼用した場合について検討した。方法としてPHITS計算により、124Sbからのγ線(主に1.69102MeV)で照射したBeで生成する中性子の照射特性を評価した。その結果、熱中性子照射場を得るには15cm程度のBeが、熱外中性子照射場を得るには厚さ13mm程度のBeが必要であると明らかにした。熱ならびに熱外中性子照射場の条件の目安として京都大学原子炉基準熱中性子照射モード、ならびにIAEA-Tecdod1223の値を基にすると、必要な124Sbの放射能はそれぞれ10の16乗、15乗ベクレルオーダーであることがわかった。このとき、高速中性子の混入率は目安と同程度に抑えられているが、γ線混入率は目安より4桁程度高い値となっている。本手法が有利な熱外中性子照射場に特化すると、必要なγ線遮蔽材の厚さはBiでは30cmとなった。このとき、上記の混入量目安は満たされており、10の17乗ベクレルオーダーの124Sbが必要とわかった。これを受けて、フリーエア状態・ファントムを置いた状態での減速体系の設計を継続しているところである。 加えて、中性子モニターとしての計測にそなえ、化学線量計の組成について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標とした、現在の治療条件を考慮した望ましい中性子エネルギーの決定を予定通り終え、減速・遮蔽体の概要設計を予定通り遂行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
まずフリーエア(生体なしの体系)で減速・遮蔽体の概要設計を終え、その後、ファントム体系で詳細な設計検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の計算機の併用により、経費を節減できたため。 次年度の計算機などに利用する。
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