研究課題/領域番号 |
16K15585
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中山 守雄 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (60164373)
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研究分担者 |
淵上 剛志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (30432206)
吉田 さくら 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40736419)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 薬学 / 放射線 / 蛍光 / イメージング / 癌 |
研究実績の概要 |
本研究では、多角的なイメージング法による高精度ながん診断への応用を目指し、最もがん選択的な蛋白の一つであるsurvivinをin vivoで選択的に検出できる放射性核種や近赤外蛍光分子にて標識したマルチモーダルイメージングプローブの開発を目的とした。まず、survivin蛋白に直接結合できる7-22残基のペプチド分子を開発したところ、リコンビナントsurvivin蛋白への結合性を有することを見出した。続いて、survivin結合応答型蛍光プローブへの応用を目指し、親和性の最も高かったペプチド分子を母体化合物として、FluoresceinとDABCYLが立体的に近接し、survivinが結合した時にFluoresceinとDABCYLが離れるような配列を有するペプチド分子 (FDMP) を考案した。FDMPは、F-moc固相合成法にて合成を行い、survivinの蛍光プローブとしての有用性を評価した。その結果、FDMPはsurvivin蛋白への高親和性を維持していることが見出された。続いて、FDMPの蛍光強度を測定したところ、FluoresceinとDABCYLによるFRETにより、Fluoresceinの蛍光がほぼ完全に消光していることを確認した。しかしながら、survivin蛋白添加 (0.1~0.5等量)による蛍光強度の上昇は最大で1.5倍程度であったため、survivinを検出できる蛍光プローブとしては、さらなるペプチド分子の構造の改良が必要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Survivin蛋白に高親和性を有する全く新しいタイプのペプチド分子の開発を達成した。また、survivinに高親和性を示し、かつsurvivinが結合していない状態ではFluoresceinとDABCYLとのFRETにて消光しているペプチド分子の開発にも成功した。従って、今後の分子プローブ改良研究に向けた基盤技術の構築を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究で、FDMPがsurvivinとの結合時に期待通りに蛍光強度が上昇しなかった理由として、2つ考えられる。1つ目の理由として、survivinへの結合親和性が不十分であることが挙げられる。そこで今後は、さらなる親和性の向上を狙った天然アミノ酸、非天然アミノ酸を含有した新たな母体ペプチドの開発を推進していく予定である。2つ目の理由として、FDMPがsurvivinと結合した後にも、FluoresceinとDABCYLとの距離がFRETを解除するには不十分である可能性が考えられる。そこで、リンカーペプチドの伸長を含めた種々のペプチド配列の改良も検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の価格変動や研究の進行状況により、残高が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品購入に使用を予定している。
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