研究実績の概要 |
これまでに、ヒト組織を構成する複数の細胞間の立体的な相互作用を再現することで機能臓器の創出技術を開発してきた。すなわち、ヒトiPS細胞由来肝内胚葉、血管内皮細胞、間葉系細胞を一定の条件で共培養することにより自律的な細胞凝集が生じ、肝臓原基(iPSC肝芽)が誘導されることを明らかにした(Takebe T, Sekine K et al, Nature, 2013)。また、ヒトiPS細胞由来肝内胚葉、血管内皮細胞、間葉系細胞の共培養前後での網羅的遺伝子発現解析を実施した。その結果、立体的な細胞間相互作用において活性化する、血管内皮細胞および間葉系肝細胞の発現遺伝子を明らかにした。そのうちの幾つかの因子については血管内皮細胞でのsiRNAを用いたノックダウン法を用いることにより、実際に立体的な細胞間相互作用において重要な役割を担うことを明らかにした(Camp JG, Sekine K et al., Nature 2017)。さらに、これまでに確立している肝内胚葉細胞だけでなく、血管内皮細胞や間葉系細胞もヒトiPS細胞より分化誘導して作製した肝臓原基(All-iPSC肝芽)の作出に成功し、本技術による血管の再構成により糖尿病治療に有効な膵島の機能向上/維持にも有効であることを証明した(Takebe T, Sekine K et al., Cell Reports 2017; Takahashi Y, Sekine K et al., Cell Reports 2018)。
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