研究課題/領域番号 |
16K15598
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
五藤 倫敏 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (50445532)
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研究分担者 |
小見山 博光 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (30348982)
折茂 彰 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70275866)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 患者大腸癌 / PDXモデル / 癌細胞間接着 / 転移のコロニー形成 / E-cadherin |
研究実績の概要 |
癌上皮細胞がEMTにより間葉系の細胞に分化することにより、細胞間の接着能が低下し、癌細胞が周辺組織により浸潤し易くなる。さらにEMT 関連転写因子の強制発現を基にした主にin vitro実験系の結果より、EMT仮説は、癌浸潤・転移様式を理解する上で広く受け入れられている。しかしながら患者癌組織におけるEMTの存在は病理組織学的に確認が困難である。一方、癌細胞クラスターが細胞-細胞接着能を有したまま上皮系の形態を維持し、播種・転移することが最近重要視されている。EMTおよびクラスター形成をきたした癌細胞が転移に寄与しているか、患者癌を使用した動物モデルでの証明が必要である。
本研究では、13例の患者大腸癌よりPDXモデルを樹立し、同所移植により新たな免疫不全NOGマウスに継代可能なラインを樹立した。さらにPDXよりtumor cell organoid培養を樹立し、本研究に役立てた。tumor cell organoidにE-cadherin-shRNAをレンチウイルスベクターにより導入したところ対照のshRNAの効果に比較して、癌細胞間の接着能が抑制された。また、これらのorganoidをマウスの脾臓に注入したところ、E-cadherin-shRNA群で有意に肝臓の転移が抑制された。 以上結果より、患者大腸癌転移のコロニー形成にはE-cadherinで媒介される、細胞―細胞接着が必須であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者大腸癌転移のコロニー形成にはE-cadherinで媒介される、細胞―細胞接着が必須であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究より、患者大腸癌転移のコロニー形成にはE-cadherinで媒介される、細胞―細胞接着が必須であることが示唆された。しかしながら、E-cadherin の発現と共存することが可能であるpartial EMTのマーカーであるSnail, ZEB1などのEMT転写因子の関与も調査される必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に使用した免疫不全NOGマウスの数が予想より若干少なかったため、次年度使用額が生じた。
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