研究実績の概要 |
1)昨年度に引き続き、マウス腫瘍細胞株(B16-F10あるいは4T1)のCXCL13発現株、CCL21発現株、あるいはコントロール株を用いて、CXCL13・CCL21強制発現の腫瘍増殖、腫瘍局所での免疫細胞浸潤に対する影響を調べた(両細胞株ともに各群での個体差が大きかったために、昨年度の結果の再現性を確認した)。各細胞株をマウスに移植したところ、CXCL13発現株、CCL21発現株ではコントロール株と比較して、腫瘍増殖速度が有意に低下した。なお、CXCL13発現株、CCL21発現株を移植したマウスにおいては、腫瘍増殖速度の低下とともに肝臓および脾臓の腫大を認めた。摘出した肝臓・脾臓組織をHE染色および免疫組織染色で調べたところ、転移腫瘍は認めず顆粒球の浸潤によることが判明した。現在、そのメカニズムを探索中である。 2)摘出した腫瘍組織を免疫組織染色(T細胞マーカーCD3, B細胞マーカーCD45R,制御性T細胞マーカーFoxP3に対する抗体を使用)し、腫瘍局所へ浸潤するT細胞、B細胞、制御性T細胞を定量(腫瘍単位面積当たりの個数を計算)した。CCL21発現株ではコントロール株と比較して有意にT細胞、B細胞の浸潤が増加していた。また、CXCL13発現株においてもコントロール株と比較してT細胞、B細胞浸潤が増加する傾向にあったが、個体間のばらつきが大きく統計学的な有意差を認めなかった。なお、異所性リンパ様組織と思われるリンパ球の集積は認められなかった。 3)サイトカインlymphotoxin-alphaを強制発現したマウス腫瘍細胞株(B16-F10あるいは4T1)を樹立した。この細胞株をマウス皮下に移植し、腫瘍増殖、腫瘍局所での免疫細胞浸潤に対する影響(異所性リンパ様組織の誘導できるかどうか)を検討中である。
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