研究実績の概要 |
患者サンプルを用いたCTC解析ではこれまでに25名の患者において施行し、血中循環癌細胞濃縮回収装置(Clear Cell FX)のダブルランにてそれなりの細胞数を得る事ができた(治療前:13-235個/1sample、4-78個/1ml、治療後:65-305個/1sample、21-93個/1ml)。がん細胞である事を証明するための免疫染色実験において、上皮性マーカー(カドへリン)と造血系細胞マーカーCD45とを用いて染色し、カドへリン(+)・CD45(-)細胞をCTCとしてカウントした(治療前:0-312個/1sample、0-52個/1ml、治療後:0-150個/1sample、0-25個/1ml)。PDXモデルでは、まずマウス血液と人がん細胞(MiaPaCa細胞)とを混合したサンプルを用いてClear Cell FXの条件検討を施行した。次に膵がんPDXを用いたCTC解析では、腫瘍組織移植後tumor volumeが1500mm3に達した時点で末梢血採血を行った。Clear Cell FX にてダブルラン施行後、CTC細胞(EGFP(-), mouse MHC(-), HLA(+))を同定する事に成功した。しかしながら、肝心のPDXモデルにおいて転移巣を確認できないため(PDX10系統において施行)、皮下移植モデルから同所移殖モデルに変更して転移巣の確認を現在行っている。予備的実験として、膵がんCell lineであるMiaPaCa2細胞を移植したCDXモデルを用いた実験を行い、このモデルでは肺転移及び肝転移を認める事を確認した。このモデルを用いてCTC細胞(EGFP(-), mouse MHC(-), HLA(+))を同定した。今後は、PDXモデルとCDXモデルとを並行して実験を行い、CTC細胞からDNA/RNAを抽出し遺伝子解析を施行する。
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