研究課題/領域番号 |
16K15610
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
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研究分担者 |
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30743918)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70447605)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脂質メディエーター / リピドミクス解析 / スフィンゴシン-1-リン酸 / セラミド / 胆汁酸 / 胆道癌 / 胆道疾患 |
研究実績の概要 |
研究課題A:肝胆道細胞のリピドミクス解析と胆汁S1P産生部位別濃度の解明に関しては、正常肝組織のリピドミクス解析を行い、肝臓中のスフィンゴリン脂質の濃度を測定し、肝蔵では高濃度のS1Pが存在することが分かった。リピドミクス解析により、肝胆道系の細胞内S1P濃度に加え、S1Pの前駆体であるスフィンゴシン、セラミドの濃度を網羅的に解析中である。更に切除標本から肝細胞、胆管上皮細胞、胆嚢上皮細胞を採取、分離し、S1P濃度を質量分析により測定し産生部位別濃度を解析中である。 研究課題B:胆道疾患(胆嚢炎・胆嚢癌)における胆汁内S1Pおよび胆汁酸濃度測定に関しては、正常な胆嚢内の胆汁、胆嚢炎における胆汁、胆嚢癌における胆汁、胆嚢炎を併発した胆嚢癌における胆汁を採取し、リピドミクス解析により、胆汁におけるS1P、スフィンゴシン、セラミド濃度を解析中である。胆嚢炎患者の胆汁を採取し、リピドミクス解析を行い、胆汁中のS1Pおよびスフィンゴリン脂質の定量化に成功した。 研究課題C:ヒト胆管細胞癌・胆嚢癌細胞株を用いた細胞培養実験:S1P受容体を介したシグナル伝達機構の解明に関しては、現在準備を進めているところである。予備実験では、S1Pは、ヒト胆管細胞HuCCT1細胞の遊走を促進し、S1P受容体阻害薬のひとつであるJTE-013はS1Pによる胆管細胞の遊走を阻害した。また、S1Pはラット胆管細胞の浸潤を有意に促進することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝胆道細胞のリピドミクス解析と胆汁S1P産生部位別濃度の解明に関しては、正常肝組織のリピドミクス解析を行い、肝臓中のスフィンゴリン脂質の濃度を測定し、肝蔵では高濃度のS1Pが存在することが分かった。リピドミクス解析により、肝胆道系の細胞内S1P濃度に加え、S1Pの前駆体であるスフィンゴシン、セラミドの濃度を網羅的に解析し、結果を学会発表、論文として発表した。 胆道疾患(胆嚢炎・胆嚢癌)における胆汁内S1Pおよび胆汁酸濃度測定に関しては、正常な胆嚢内の胆汁、胆嚢炎における胆汁、胆嚢癌における胆汁、胆嚢炎を併発した胆嚢癌における胆汁を採取し、リピドミクス解析により、胆汁におけるS1P、スフィンゴシン、セラミド濃度を解析中である。胆嚢炎患者の胆汁を採取し、リピドミクス解析を行い、胆汁中のS1Pおよびスフィンゴリン脂質の定量化に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題Aについては、胆汁中S1P産生部位におけるS1PおよびS1P前駆体の濃度を明らかにし、スフィンゴリン脂質相互の関係性についても明らかにする。 研究課題Bについては、胆汁中の各胆汁酸濃度を測定し、スフィンゴリン脂質と胆汁酸の胆道疾患別濃度を解明する。 研究課題C:ヒト胆管細胞癌・胆嚢癌細胞株を用いた細胞培養実験:S1P受容体を介したシグナル伝達機構の解明に関しては、 1)新鮮凍結胆汁(S1P活性化)、2)常温胆汁(S1P不活化)、3)胆汁酸、4)精製S1P、5)S1P受容体阻害剤JTE-013を準備し、1)~5)をヒト胆嚢癌細胞株と各々共培養し、細胞実験により細胞機能(増殖能、浸潤能、遊走能、生存能)を解析する。 申請者らの予備実験では、S1Pは、ヒト胆管細胞HuCCT1細胞の遊走を促進し、S1P受容体阻害薬のひとつであるJTE-013はS1Pによる胆管細胞の遊走を阻害した。また、S1Pはラット胆管細胞の浸潤を有意に促進した。本研究では、癌細胞癌が産生するS1Pの生理的機能を解析するために、ヒト胆管細胞癌細胞株(HuCCT1、CCLP1、SG231)、ヒト膵癌細胞株(MIA PaCa-2)、マウス膵癌細胞株(PAN02)を用いて、SphK1をプラスミドベクターにより過剰発現、あるいは同酵素をCRISPR/Cas9によりノックアウトした細胞株を樹立し、浸潤能・遊走能の制御実験を行う。
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