研究課題/領域番号 |
16K15612
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50192026)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00422824)
田中 光司 三重大学, 医学系研究科, 客員准教授 (10345986)
井上 靖浩 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20324535)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大腸癌 / microRNA / バイオマーカー / エクソソーム |
研究実績の概要 |
本研究は、癌特異的に分泌されるGlypican-1陽性エクソソームに包埋された遺伝子情報を解析することで、非侵襲的なLiquid biopsyによる大腸癌患者の診断から治療にわたる戦略が構築可能か検証することである。 体細胞のすべてがエクソソームを放出するために、癌細胞由来のエクソソームを区別することは困難である。そこでまず血清およびエクソソームmiRNAの早期診断マーカーとしての意義を比較検討した。正常大腸粘膜、大腸腺腫、大腸癌組織においてmiRNAs発現をqPCRで測定し、健常者・大腸腺腫患者の血清およびエクソソームmiRNAs発現の診断能を比較検討した。その結果大腸腺腫患者で血清 miR-21,29a,92a、エクソソームmiR-21,29aが有意な発現上昇を認めた。またエキソソームmiRNAと比較し、血清miR-21,29a,92aは腺腫径10mm以上の進行腺腫患者検出に有用だった。つまり血清miR-21,29a,92aは大腸腺腫の有用な診断マーカーとなり得る可能性が示唆された。この結果より、診断の為のLiquid biopsyを臨床応用するには大腸癌特異的エクソソームを分離することが重要であることを報告した。 またGlypican-1はほぼ全固形癌で発現することが最近示されてきており、現在消化器癌腫特異的エクソソームマーカー(食道癌、胃癌、大腸癌)を同定する作業に移行している(網羅的プロテオミクス解析)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに癌特異的エクソソーム上の抗原を同定する計画であったが、現在網羅的解析中であり、当初予定していた実験計画と比べると遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的プロテオミクス解析によるエクソソーム上に存在する消化器癌特異抗原(大腸癌、胃癌、食道癌それぞれ)を現在検出中であり、候補抗原が同定されれば、患者血清よりエクソソームを分離し、その抗原を用いた癌診断が可能であるかを検証する。また、癌特異的エクソソームに存在する核酸を抽出し、原発巣の遺伝子情報との関連、治療、予後等の判定が可能であるかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までに癌特異的エクソソーム上の抗原を同定する計画であったが、微少エクソソームを抽出する過程が困難で、時間を要した。そのために委託による網羅的解析ができなかったことで、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に繰り越された網羅的プロテオミクス解析に使用する。
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