研究課題
研究代表者は、RNA結合蛋白(RBP)のひとつであるTIA1が、食道扁平上皮癌(ESCC)の発生と進行に伴い発現・局在に変化を生じて癌促進的遺伝子として働くことを証明し、この働きがexon 5でコードされる11アミノ酸を含むヒンジ領域を持つ長いアイソフォームTIA1a特異的あること、ヒンジ領域がセリン・スレオニンに富んだ「天然変性領域(IDR)」と呼ばれる不安定構造を形成することを見出した。そこで、IDRの修飾がスイッチとなって局在が変化し、癌特異的パートナー分子群と細胞質で集合体を形成することで癌関連分子群の転写後調節を介して癌化を促進すると予測し、この分子スイッチの分子機構の全容を解明する研究を進め、以下の成果を得た。1.TIA1aの細胞質局在の癌促進作用との関連性を、子宮頸癌でも確認した。2.TIA1aのIDR周辺における予測リン酸化アミノ酸の活性化・不活性化変異体を作成し、細胞に強制発現して局在を観察することで、細胞質局在に関与すると考えられるリン酸化部位候補を特定できた。また、予測候補キナーゼのノックダウンまたは特異的抑制剤により、TIA1aの局在に影響する候補キナーゼを同定した。3.RIP-seqを実施して細胞質分画においてTIA1aに結合するmRNA候補群を同定した。TIA1aの強制発現やノックダウンにより、候補mRNAの発現量の変化から調節標的を絞り込んだ。さらにそれらの3’UTRを合成しin vitro pull-downアッセイで結合の確認、結合部位の同定、および同じmRNA候補に結合して共同あるいは拮抗的に働きうる他のRBPを同定した。4.ヒンジ部に対する合成阻害性ペプチドをTIA1aと共発現させることで、TIA1aの細胞質局在への阻害効果は検証できたが、持続時間が短く腫瘍増殖抑制は確認できなかった。
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