研究課題
ナノテクノロジーを基盤とし、高い血中滞留性と腫瘍集積性を併せ持つナノ粒子に既存薬物を封じ込め、高度な化学治療を行う薬物送達システムは分子標的治療と双璧をなす創薬技術として近年急速に発展を続けているものの、その腫瘍への集積性は十分とは言えず、副作用や長期毒性が十分に解決されたとは言いがたい。このような現状を鑑み、きわめて副作用の小さい薬物治療の創出がこれからの重要な課題である。一酸化窒素(NO)は生体内で血管新生やアポトーシス誘導など、様々な生理機能を有することが知られている。申請者らはこれまで、生体内で時間・空間的にNOを発生させ、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導せしめる新しい抗腫瘍ナノメディシンの設計を行ってきた。本研究では生体環境下でゲル化するナノ粒子にNO発生能を創り込み、心筋梗塞領域へ投与し、心筋内でのゲル化により長期滞留性を向上させるとともにNOを発生させて血流の上昇と新生血管増殖効果を目指した。また、発生したNOを消費する活性酸素種を消去し、効果的なNOによる血管新生と心筋梗塞治療法を目指した。これらの材料設計及び心筋梗塞モデルに対する評価により、NO発生及びROS消去単独材料に比べ、両者を併せ持つ材料は極めて高い効果を発揮することが確認された。しかしながら、両材料を組み合わせたゲルの機械的強度は数百Pa程度と比較的柔らかく、さらなる機械的強度の検討が必要であろう事が問題であった。これに対し、ポリアニオンを至適濃度に混合することで2.0kPaまで向上することを明らかにした。また、本ゲルにより心筋梗塞領域が減少することが血管新生に基づくことを確認することができた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 5件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (57件) (うち国際学会 18件、 招待講演 16件) 図書 (2件)
Cardiovascular Drugs and Therapy
巻: 31 ページ: 501~510
10.1007/s10557-017-6758-6
Biomaterials
巻: 142 ページ: 162~170
10.1016/j.biomaterials.2017.07.015
Advanced Healthcare Materials
巻: 6 ページ: -
10.1002/adhm.201700428
Stroke
巻: 48 ページ: 2238-2247
10.1161/STROKEAHA.116.016356
Scientific Reports
巻: 7 ページ: 1-13
10.1038/s41598-017-03411-7
Acta Biomaterialia
巻: 57 ページ: 127~135
10.1016/j.actbio.2017.04.031
巻: 134 ページ: 143~153
10.1016/j.biomaterials.2017.04.038
Biological & Pharmaceutical Bulletin
巻: 40 ページ: 941-944
10.1248/bpb.b17-00155
巻: 129 ページ: 68~82
10.1016/j.biomaterials.2017.03.011
Polymer
巻: 116 ページ: 429~438
10.1016/j.polymer.2017.02.052
Journal of Biomaterials Science: Polymer Edition
巻: 28 ページ: 1036-1050
10.1080/09205063.2017.1288774