心筋貫通枝領域の虚血は標準の12誘導心電図では検出できないだけではなく、血管造影を施行しても検出限界により可視化が困難であるため、確定診断をつけることが困難である。そのため、心筋の貫通枝領域における虚血に対して治療を行うことができないのが現状であるため、心筋貫通枝領域の虚血に対して、新たな診断法を開発し、治療法を開発することが必須となっている。 そこで本研究で、心筋貫通枝領域の微小血管障害を可視化し、心筋貫通枝領域における心筋虚血に対する新しい治療法として、細胞移植療法が有効であることを示す。そのために、細胞移植療法を行うために必要である幹細胞の分離・同定を行う必要があり、昨年度は各種幹細胞の分離同定を行った。心筋貫通枝狭窄実験動物モデル作製は糖尿病モデルラットであるOLETF(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty)ラットを用いた。これまでの我々の検討で、OLETFラットは生後10ヶ月後から心筋貫通枝の狭窄を引き起こすことが明らかになっている。 本年度は実際に実験動物モデルを利用し、幹細胞投与による心筋への生着期間を検討する予定であり、OLETFラットとそのコントロールラットであるLETO( Long-Evans Tokushima Otsuka)ラットに対して各種幹細胞の投与を行った。幹細胞の生着期間の検討に関してはDiIの発現期間とアポトーシス経路に重要な役割を持つCytochrome Cを免疫染色により評価する予定であったが、途中退職のため、評価の遂行までにはいたらなかった。
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