研究実績の概要 |
遺伝子発現とコピー数をiClusterPlusを用い統合解析しクラスターにわけるとおおむね組織型にそって分類される一方、再発していない胸腺癌はタイプB2/3のクラスターに、再発したタイプB3胸腺腫は胸腺癌のクラスターに分類され、組織型にこれらの遺伝子発現・コピー数異常解析結果を追加することで予後予測に有用なデータが得られることが示された。われわれは胸腺癌の発症に関してはCH16 lossに注目しており、この領域にはCYLD, CBFB, CDH1, CDH11, CTCF, ZFHX3といった腫瘍抑制に関連する遺伝子が存在するが、今回のコピー数異常・遺伝子発現統合解析においてはこれらの遺伝子の特定には至らなかった。なお2018年にNational Cancer InstituteによるThe Cancer Genome Atlasから詳細な胸腺腫、胸腺癌の統合的遺伝子解析結果が報告されているが、胸腺癌の解析においては胸腺腫よりTumor mutation burdenが多いという結果の報告に留まっており、これらの遺伝子データの解析に困難さを示していると思われる。今後は遺伝子データの解析に加えわれわれの有する組織標本を用いた免疫染色にて胸腺癌に特徴的なタンパク発現について検討を行いたい。
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