研究課題/領域番号 |
16K15651
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
萩原 嘉廣 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90436139)
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研究分担者 |
神崎 展 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (10272262)
土谷 昌広 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60372322)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 筋衛星細胞 / 筋断裂 / FACS / 再生 |
研究実績の概要 |
鏡視下腱板修復術を行った患者(19例)から、断裂のない肩甲下筋(SSC)および断裂のある棘上筋(SSP)からサンプルを採取した。サンプルはコラゲナーゼで処理し、Fluorescence Activated Cell Sorting (FACS)によって筋衛星細胞(CD11b-CD31-CD34-CD45-CD56+ cell)と脂肪前駆細胞(CD11b-CD31-CD34-CD45-PDGFRα+ cell)を分離し、それぞれの筋での構成比を算出した。単離した筋衛星細胞および脂肪前駆細胞を増殖培地で分化させた。筋衛星細胞は筋細胞に分化したが、脂肪前駆細胞は分化しなかった。また、通常の蛍光顕微鏡が不得意とする不透明標本の深部観察を、生体組織の深部を非侵襲のまま蛍光観察できる2光子顕微で観察した。 筋衛星細胞/脂肪前駆細胞比はSSCで高く、SSPでは脂肪変性が進行していた。筋衛星細胞はSSC,SSPともに筋細胞まで分化可能であった。両者の遺伝子発現をDNAマイクロアレイで比較した。SSPではMYH2やMYL1、コラゲンタイプ6など、筋分化や細胞外骨格に関わる遺伝子が上昇し、MMP3やC1Sなど、炎症関連の遺伝子、MBPやPCSK1など、神経関連の遺伝子の発現上昇を認めた。SSCではHOX C4やC6、HOXA11など、ホメオボックス関連の遺伝子の発現の上昇していた。2光子顕微鏡では、SSCでは脂肪細胞を取り巻くように線維性組織と血管新生が認められた。また、SSCの方が自家蛍光が強かった。2光子顕微鏡は肉眼ではわかりにくい、微細な構造を3次元で可能であり、術中での筋組織の診断装置としての可能性を期待させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例数を順調に増やし、目的とする結果を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
得られた筋衛星細胞を運動できる培養系で培養し、筋細胞に運動負荷をかけた際の応答能の比較を行う予定である。筋衛星細胞のみでの培養が難しい場合、フィーダー細胞との共培養も検討する予定である。
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