研究課題
肩関節鏡による腱板断裂の手術の際、断裂して脂肪変性を起こした棘上筋・棘下筋(断裂群)と、断裂していない正常な肩甲下筋(コントロール群)から筋組織を採取した。コラゲナーゼによる細胞単離を行い、先行研究(Cell Death Dis. 2014 Apr 17;5:e1186)より判明している細胞表面マーカーを用いて、フローサイトメーター(FACS)により筋前駆細胞と脂肪前駆細胞を単離した。コントロール群からより多くの筋前駆細胞が単離でき、断裂群からはより多くの脂肪前駆細胞が単離できた。術前のMRIによる筋の萎縮の程度とFACSによる筋前駆細胞/脂肪浸潤の比は正の相関係数が認められた(脂肪浸潤が進行すると、脂肪前駆細胞の割合が増える)。脂肪前駆細胞は培養できなかったが、筋衛星細胞は断裂群、コントロール群とも筋細胞に分化可能であった。この両者の筋分化能(ミオシン重鎖陽性細胞数、核融合率)には有意な差がなかった。DNAマイクロアレイでは、断裂群ではMYH2やMYL1、コラゲンタイプ6など、筋分化や細胞外骨格に関わる遺伝子の発現の上昇を認めた。また、MMP3やC1S,など、炎症関連の遺伝子、MBPやPCSK1など、神経関連の遺伝子の発現上昇を認めた。また、コントロール群ではHOX C4やC6、HOXA11など、ホメオボックス関連の遺伝子の発現の上昇を認め、発生関連の遺伝子の減少を認めた。Gene Ontology Analysisでは、断裂群では細胞外マトリックスや細胞外骨格にかかわる遺伝子の発現の上昇を認めた。コントロール群では発生に関わる遺伝子の上昇を認めた。
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Tohoku J Exp Med,
巻: 244 ページ: 15-24
https://doi.org/10.1620/tjem.244.15