今後の研究の推進方策 |
前年度に構築した高発現株を用い、薬理効果の評価に必要となる組み換えタンパク質の大量調製を行う。取得した組み換えタンパク質を用い、まずin vitroモデル系を用いて薬理作用の確認を行う。マウスより単離したナイーブT細胞を、同種異系の樹状細胞と共培養し、ナイーブT細胞の増殖活性を3Hチミジン取り込み活性で評価すると共に、IL-2, IFN-γ, TNFαなどのサイトカイン分泌をELISA手法で定量することで、各融合タンパク質の添加によってT細胞の活性化と増殖が抑制されるか否かを検証する。また、マウス骨髄由来マクロファージを、GST-RANKLで刺激して成熟破骨細胞形成を誘導する実験系を用い、各種融合タンパク質の添加によって、成熟破骨細胞の形成が抑制されるか否かを検証する。 次いでin vivo薬理効果の評価を行う。動物モデルはコラーゲン関節炎を誘導したマウスを用いる。ウシII型コラーゲンによる初回免疫の3週後に追加免疫によるブーストを行う。薬理効果の評価対象とする組み換えタンパク質は、ブーストと同時に投与を開始することとし、投与量および投与間隔は、前年度の薬物動態学的検討の結果を踏まえて設定する。経時的に四肢関節の関節炎指数および関節腫脹を追跡評価する。また、また、経時的に血液サンプリングを行い、TNFα, IFN-γ, IL-2, 6など炎症性サイトカインの血清中濃度をELISA手法で測定することで、炎症の活動性を反映する指標として用いる。さらに、骨破壊に対する影響の評価には、血清中TRAP5b値の経時的な変動をELISA手法で測定すると共に、単離した四肢の関節部位を中心にμCTを用いて解析し、骨微細構造の変化を測定する。さらに病理組織切片を作成し、パンヌス・軟骨障害に関してスコア化して評価を行う。また、骨形態計測を行って、骨吸収の変化に関して定量的な評価を行う。
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