研究課題/領域番号 |
16K15656
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
長谷川 望 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (50770228)
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研究分担者 |
田村 幸彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40188446)
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40272603)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨形成促進 / 軟骨変性抑制 / RANKL / ペプチド / ゼラチンハイドロゲル |
研究実績の概要 |
我々は、受容体―リガンド双方向シグナルが受容体 RANK(receptor activator of NF-κB)とそのリガンドであるRANKL間にも存在することを仮定している。RANKに似せたペプチドが骨吸収抑制作用だけでなく、骨形成促進作用さらに、軟骨細胞分化促進作用も発揮することから、RANK様ペプチドに骨・軟骨両組織に 誘導促進する可能性を見出している。 本研究の目的は、RANK様ペプチドが局所の骨・軟骨形成促進剤として有用であるか否かを検討する事である。変性した軟骨に対するRANK様ペプチドの作用を見出すため、変形性関節症(OA)のモデルであるmonosodium-iodoacetate(MIA)誘導OAマウスモデルを立ち上げた。すでに軟骨分化促進作用が明らかとなっているOP3-4ペプチドを京都大学生体材料学分野との共同研究で使用している直径20μmの粒子状ゼラチンハイドロゲルを担体として用い、立ち上げたOAマウスモデルの膝関節腔内に打ち込んだ。組織切片では、トルイジンブルー染色でメタクロマジーを起こす正常軟骨組織が、OAモデルではトルイジンブルー染色陽性面積が明らかに減少した。一方、OP3-4投与群では、減少したトルイジンブルー陽性面積が、溶媒投与群に比べて有意に増加していた。 このOAモデルでは、蛍光物質投与により計測した骨形成活性指標は溶媒投与群に比べて抑制されず、OP3-4ペプチド投与による骨形成促進作用は認められなかったことから、OP3-4ペプチドの関節腔内への注射では、骨形成系細胞への影響が少ないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RANK様ペプチドが軟骨変性を抑制することが明らかとなったため。 また、ペプチドの軟骨組織への直接作用を判断する良いOAモデルが立ち上がったため。 コラーゲン誘導の関節リウマチモデルでは骨形成が明らかに抑制される。このため、このモデルではOP3-4ペプチドの骨形成促進作用が発揮されて、軟骨組織が残っているのか、直接作用なのかが判断しにくい。このため、骨形成が抑制されない軟骨変性モデルを立ち上げる必要があった。MIA誘導のOAマウスモデルでは、骨形成指標が下がらないことがわかり、ペプチドの軟骨組織への直接作用を判断するために、良いモデルが立ち上がった。
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今後の研究の推進方策 |
RANK様ペプチドの軟骨変性抑制作用メカニズムを明らかにする。 RANK様ペプチドが滑膜由来の間葉系幹細胞を増やして、軟骨変性を抑制している可能性を考え、間葉系細胞株C3H10T1/2細胞の増殖がOP3-4ペプチドで亢進するか検討する。 また、実際の滑膜由来の幹細胞をマウス膝蓋骨裏の脂肪組織から取り出し、ペプチド刺激で増殖が上がるかどうかを検討する。 大阪大学と国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所との共同研究により、RANK様ペプチドをRANKL結合能を指標としてスクリーニングを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画どうりに進んでいるが、残額の把握が細かいところまでできなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
計画は、RANK様ペプチドの軟骨変性抑制メカニズムを明らかにすることを、細胞株、ex vivo実験により明らかにしていく。今後の研究の推進方策に記載した方向で進めていく。
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