研究課題/領域番号 |
16K15657
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
辻 邦和 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (20323694)
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研究分担者 |
宗田 大 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50190864)
関矢 一郎 東京医科歯科大学, 再生医療研究センター, 教授 (10345291)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 増殖 / 分化 / PI3K / 細胞内シグナル / PDGF |
研究実績の概要 |
体組織由来間葉系幹細胞(MSC)は、in vitroにおいて三胚葉性の分化誘導が観察されるにも関わらず、ES細胞やiPS細胞と異なりin vivoにおける全能性は検証されていない。本研究では、MSCの増殖及び可塑性を制御する因子として、PDGF/PI3K-Aktのシグナル経路及び、その抑制に伴うOct4/Nanog遺伝子の発現誘導に着目して、その分子メカニズムの詳細な検証を行い、生体組織における間葉系幹細胞維持のための微小環境の分子メカニズムの解明及びin vitro/in vivoにおけるMSCの未分化性(可塑性)の誘導と全能性の発現に関して検討を行うことを目的とする。 ヒト膝関節滑膜組織由来の間葉系幹細胞を実験に用いた。PDGFによるヒト滑膜MSCの増殖の過程で細胞内において、MAPK、PI3K、PLC経路の活性化(リン酸化)が誘導されることを、Western Blot法、並びにリン酸化タンパクを特異的に標識する抗体を用いたFlow cytometry法により明らかとした。各情報伝達経路において、それぞれのリン酸化酵素に対する阻害剤を用いた実験から、間葉系幹細胞の増殖のシグナルは主にPI3K-Akt経路が重要であることを示唆するデータを得た。さらに間葉系幹細胞の分化(軟骨、骨芽細胞)においてもPDGFシグナルは正に制御していることを示した。すなわち、軟骨分化誘導培地に、PDGFを添加することにより、より多くの軟骨基質の産生を確認した。この効果はPI3K阻害剤により有意に抑制されたことから、PDGFにより誘導されるPI3Kの活性は、間葉系幹細胞の増殖だけでなく分化においても中心的に機能していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、研究計画の実施において特に問題点は観察されず、順調に推移している。本年度は、第一報目の成果を、Cell Transplantation誌に発表を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、in vitroにおけるMSCの多分化能の検証とPDGFシグナル経路のmodifierを用いたその制御に関する検討を行なっていく。 これまでに得られた知見を基にPDGF/PI3K-Akt経路の阻害により誘導された滑膜並びに骨髄MSCの可塑性の増大が、どのレベルまでMSCの多分化能を誘導できるかの検証を行う。本研究項目では主にin vitroの実験系を用いて検証を行う。2006年の山中等の方法並びに2012年のBall等の方法を用いて、種々のPDGFシグナル経路のmodifierにて前処理を行ったMSCを用いてEmbryoid Body(EB)の作成を行い、Oct4/Nanog発現レベルと三胚葉性の分化の効率の比較を行う。分化の指標は、EBにおけるSmooth Muscle Actin、alpha-Fetoprotein、並びにbetaIII-Tublinの発現をQPCR、Western Blot及び免疫組織学的解析を行うことで検証を行う。また、山中等の方法に従って発現遺伝子の網羅的解析(DNA Microarray)並びにOct4とNanog遺伝子のプロモーター領域のMethylation解析を行い、これまでに報告されているES細胞、iPS細胞との比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画は概ね順調に進捗しているが、研究に使用する抗体やリコンビナントタンパク等の試薬に関して、購入費用が計画よりも安価となったので、差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降必要な試薬を購入するためにしようしていくことを計画している。
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