本年度に実施した研究成果については下記の通りである。 神経堤細胞特異的にACVR1R206Hを発現するマウスの作製:まず、昨年作製に成功した、ドキシサイクリン誘導により全身性に導入遺伝子を発現するFOPモデルマウス(Rosa-rtTA_Col1-tetOn-ACVR1R206H)のホモマウス化、およびコロニー拡大を行った。次に、神経堤細胞を標識するのに使用される最も実績のあるマウスであるP0-Creマウスと、共同研究者から分与頂いたfloxed-STOP-rtTAマウスと、上述のtetON-ACVR1R206Hマウスを交配することで、薬剤誘導により神経堤細胞特異的にAVCR1R206H分子が発現するマウスを作製した。このマウスにタモキシフェン投与後にカルディオトキシン処理を施すことで、異所性骨が誘導された。これにより、神経堤細胞が異所性骨の起源の1つである可能性が示唆された。 遺伝子X-CreERT2マウス:当初の計画では、胎生8日から10日の胚において神経堤細胞に特異的に発現する遺伝子である遺伝子Xの3’UTR領域にタモキシフェン誘導により核移行するCreERT2を自己切断配列(2A)で連結した形でノックインしたマウス(遺伝子X-CreERT2マウス)を共同研究先から入手し、ライン化、R26Rとの交配、およびコロニーの拡大を行う予定であった。しかし、同Creラインの胎生9.5日目にタモキシフェンを母体に投与したところ、タモキシフェン投与により全ての母体が流産したため、計画を変更して投与量とタイミングの最適化、およびカウンター分子の投与などを試みた。しかし結果はどの方法でも流産を止めることができず、産仔がほぼ得られなかった。本計画では4重変異体が必要なため目的の遺伝子型の仔は1/16でしか得られず、必要な標本数を得ることは現実的でないとかが得られたため、この計画は断念した。
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