研究課題/領域番号 |
16K15667
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
味八木 茂 広島大学, 病院(医), 講師 (10392490)
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研究分担者 |
宿南 知佐 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (60303905)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腱・靭帯 / microRNA / 再生 |
研究実績の概要 |
腱・靭帯細胞マーカーとなる分子が同定されていないことから腱・靭帯細胞の性質やその分化メカニズムなどの分子生物学的な情報はほとんど明らかになっていない。 本研究は、腱・靭帯細胞で高発現しているmicroRNA(miRNA)に注目し靭帯特異的なmiRNAや遺伝子を探索する。本研究では、以下の2つを課題とする。1)miRNAが腱・靭帯発生/成熟および再生機構に関与することを明らかにする。2)靭帯細胞特異的なマーカー分子を探索する。 ほぼ全てのmiRNAはDicerという酵素によってプロセッシングされることで成熟した機能性miRNAになる。すなわち、このDicerの欠失はmiRNAが機能しないことが示されている。腱・靭帯の発生に関与することが知られているScxなどの制御下で発現するCreマウスとDicer-floxマウスを交配させたマウスを解析することで、miRNAが腱・靭帯発生/成熟および再生機構に関与することを明らかにする。しかし、ScxCre ;Dicerflox/flox マウスは、出生直後に致死となり、その原因として骨格の低形成とくに胸郭の形成不全が顕著であった。マウス腱組織および初代腱細胞、また株化したマウス腱細胞よりRNAを抽出し、nCounter システムを用いてmiRNAの発現を網羅的に解析した、その結果、高発現している多くのmiRNAは、腱組織および腱細胞、骨髄由来間葉系幹細胞、関節軟骨細胞軟骨細胞に共通していた。しかし、骨髄由来間葉系幹細胞、関節軟骨細胞で発現しているmiRNAと比較することで、腱組織および腱細胞で特に発現し、かつ他細胞との発現比の大きいmiRNAを数種類同定した。同定した腱組織および腱細胞で特徴的なmiRNAについて詳細な解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たなCreマウスとの交配や作製に手間取っているために計画よりやや遅れて進行していたが、現在CreマウスとDicer-floxマウスの交配に着手し始めており、また、腱細胞中のmiRNAのプロファイリングより選別したmiRNAについても基礎的なデータを取得し始めていることから概ね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
タモキシフェン誘導型CreERT2マウスやその他のプロモータ制御下のCreマウスとDicer-floxマウスの交配に着手し始めており、その発生および成長過程における腱・靭帯組織を解析する。また、腱細胞中におけるmiRNAのプロファイリングにより選別したmiRNAについて、各組織・細胞間と比較し、腱・靭帯特異的な発現パターンであるか確認していく。
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