研究課題
挑戦的萌芽研究
腰部脊柱管狭窄症は中高齢者に好発し、下肢の痛みとしびれや歩行障害をきたすことにより著しい日常生活動作の低下をもたらす疾患である。この主な原因は黄色靭帯の肥厚による馬尾神経圧迫であるが、肥厚の要因となる細胞群や原因遺伝子含め、そのメカニズムは殆ど解明されていなかった。我々はマウスモデルを用いて、メカニカルストレスの蓄積とマクロファージの浸潤がその要因であることを明らかにした。これらの知見は腰部脊柱管狭窄症に対する治療に新しい治療戦略に繋がるものと考えられる。
脊椎脊髄病学
我々の成果は、黄色靭帯肥厚の分子生物学的メカニズムにアプローチした初めての報告であり、同時に黄色靭帯肥厚研究における再現性のあるマウスモデルを確立したものである。現在、黄色靭帯肥厚による腰部脊柱管狭窄症や神経根圧迫による下肢症状に対しては、手術加療による黄色靭帯切除しかないが、将来的には1型コラーゲンの融解などで低侵襲に病態を改善できる可能性があり、本研究で確立した動物モデルが有効に活用されるものと考えている。