研究課題/領域番号 |
16K15670
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
末原 義之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70509405)
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研究分担者 |
高阪 真路 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (00627119)
小林 英介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (40365292)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨軟部腫瘍 / TK遺伝子転写変異体 / TK遺伝子変異 |
研究実績の概要 |
悪性骨軟部腫瘍の治療成績は、5年生存率が約50%以下と依然不良であり、これは「希少癌」であるが故のデータ量不足や消極的な創薬開発が影響している。対してメジャーな癌、特に肺癌ではEGFR変異などの発生・悪性度因子(driver-oncogene)を治療標的としたTKの阻害剤治療が盛んであり、治療成績は良好である。現在も全癌種・横断的に新規分子標的治療標的(特にTK治療標的)と成り得るdriver-oncogeneが探索され、癌治療のbreakthroughと位置づけられている。 本研究では、骨軟部腫瘍において、他癌で成功を収めているTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異を探索を独自のNanoStringシステムによる手法で進め、新規治療標的となりうるdriver-oncogeneとしての遺伝子転写変異体及び遺伝子変異を探索を行った。 (A)NanoStringシステムによるTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異の探索: 全TK遺伝子転写変異体探索のために、約200個のカスタムプローブデザインを作成し、原発の悪性軟部腫瘍50例にNanoStringに行った。 (B)TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異のシークエンスと発現の検証:上記50例のNanoStringに関して、5例のTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異候補を同定し、次世代シークエンサーによる検証実験を行い、現在そのデータ解析を行っている。 その(B)の結果に基づき、(C)新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異のq-PCR、ウエスタンブロット及び免疫染色を用いた大規模スクリーニング検証、(D)新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異の機能解析の解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(A)のNanoStringシステムによるTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異の探索において、昨年の解析検体の集積遅延により、下記(B)の進行も遅延を生じている。(B)のTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異のシークエンスと発現の検証においては予定通り進んでいるが、5例と多くのTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異候補の同定に成功しており、現在そのデータ量の多さより多少の解析遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
B)TK遺伝子転写変異体のシークエンスと発現の検証:引き続き上記50例のNanoStringに関して、5例のTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異候補を同定に対して、次世代シークエンサーによる検証実験で得たデータ解析を行う。 C)新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異のq-PCR、ウエスタンブロット及び免疫染色を用いた大規模スクリーニング検証:同定された新規TK遺伝子転写変異体については、q-PCR、ウエスタンブロット及び免疫染色を用い検証を行う。 D)新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異の機能解析:新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異に対して各種腫瘍細胞株を用いて、その新規遺伝子変異遺伝子導入を行い、癌化による細胞増殖やヌードマウスを用いて細胞のin vivo解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:(A)のNanoStringシステムによるTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異の探索において、昨年の解析検体の集積遅延により、下記(B)の進行も遅延を生じている。(B)のTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異のシークエンスと発現の検証においては予定通り進んでいるが、5例と多くのTK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異候補の同定に成功しており、現在そのデータ量の多さより多少の解析遅延が生じている。今後の使用計画:(B)TK遺伝子転写変異体のシークエンスと発現の検証として次世代シークエンサーによる検証、(C)新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異のq-PCR、ウエスタンブロット及び免疫染色の解析、(D)新規TK遺伝子転写変異体及び遺伝子変異の機能解析として各種腫瘍細胞株を用いた in vitroとin vivo解析を行う。
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