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2017 年度 実施状況報告書

低酸素環境が神経障害性疼痛に与える影響についての実験的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 16K15672
研究機関山形大学

研究代表者

秋元 亮  山形大学, 医学部, 助教 (40594677)

研究分担者 川前 金幸  山形大学, 医学部, 教授 (70254026)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードジアシルグリセロールキナーゼ / 低酸素 / SIRT
研究実績の概要

ジアシルグリセロール(DG)のリン酸化酵素であるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)ファミリーのうちゼータ型DGK(DGKζ)の発現減少による影響を、培養細胞を用いて検討した。培養細胞にはマウス胎児線維芽細胞(MEF)を使用した。
DGKζ発現減少細胞に低酸素刺激を行い、SIRTファミリーのうち、SIRT1の発現を調べた。SIRT1は、NAD+依存性に活性化されるエネルギーセンサーとして働き、代謝を抑えることによりATPの消費を抑制し低エネルギー状態への適応を促すと考えられている。
野生型およびDGKζ-KO 由来のMEFを、正常酸素ないし低酸素環境下で24時間培養を行い、SIRT1のタンパク発現およびmRNAをウェスタンブロットとRT-PCRにて解析をした。正常酸素条件下、すなわち低酸素曝露の無い状態において、DGKζ-KO MEFのSIRT1タンパク発現は、野生型MEFと比較して65%に低下していた。低酸素負荷によって、野生型およびDGKζ-KO MEFの両者ともに、SIRT1のタンパク発現は減少するが、DGKζ-KO MEFの方が大きく減少した。RT-PCRによるmRNAの発現を検討すると、正常酸素下ではDGKζ-KO MEFにおけるSIRT1 mRNAは、コントロールMEFの85%に、低酸素負荷条件下ではDGKζ-KO MEFはコントロールMEFのおよそ50%に減少することが明らかとなった。この結果より、DGKζ-KO MEFにおけるSIRT1発現は、転写レベルにおいて抑制されており、さらに低酸素曝露によって顕著に低下することが示唆された。一方、DGKζ-KO MEFで低酸素曝露によって種々のアポトーシスマーカーが野生型MEFと比較して増加する傾向は見られたが、今回の実験系では統計的に有意な所見は得られず、今後、条件の検討が必要と考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エネルギー関連タンパクは様々ある中で、SIRT1とDGKζの関連性が明らかとなったことは大きな前進であると考える。またSIRT1はDGKζ-KO MEFにおいてmRNAレベルで減少を認めており、DGKファミリーの中でDGKζが低酸素刺激と関連し、DGKζのノックアウトによって細胞が脆弱となる可能性がある。今回の実験により、これまでの報告を支持する結果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

低酸素刺激によるAMPK、SIRT1のタンパク量の調節や活性化とDGKζの関連を更に解析する。また、細胞のエネルギー状態や炎症関連タンパクを、培養細胞を用いて検討する。これまでの知見を踏まえ、個体レベルでの条件を検討したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

購入予定であった抗体および実験材料が一部手持ちのもので賄えたこと、個体レベルでの実験の前に細胞レベルでの十分な検討を行うため、実験動物を想定よりも使用せずに済んだこと、また旅費を計上していないため。

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公開日: 2018-12-17  

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