研究課題
近年、敗血症において、ヒストンが大量に血液中に放出されることにより血管内皮細胞が破壊されることが、多臓器不全の一因となっていることが明らかとなってきた。プログラムされた細胞死は、アポトーシス研究に始まり、ネクロトーシスやピロトーシス、オートファジー等が知られており、それぞれの細胞死において、共通の機構、さらに代償的に働く機構等、明らかとなってきている。本研究は、ヒストン誘導性細胞死に関わる遺伝子を発見することを目的とした。平成29年度は、引き続きGene-trap法を用いてヒストン誘導性細胞死に関与する遺伝子の同定を行った。HAP1細胞に組換えウイルスを感染させた後、FACSにより感染効率の確認を行ったところ、GFP陽性細胞は約30%であり、高頻度でGFPが遺伝子内に挿入されていることが確認できた。ヒストンによる細胞死誘導を行った後、生存細胞に対し再度ヒストン刺激を行い、ヒストン耐性となっているか確認した。今回、耐性クローンは得られなかったが、原因として、ヒストン細胞死に関わる蛋白質の半減期が長く、24時間では十分に細胞内から消失せず、ヒストン感受性となっていた可能性がある。今後は、ウイルス感染後に数日培養を続け、FACSによりGFP陽性細胞を濃縮後、ヒストン処理を行いたいと考えている。ヒストンは多くの培養細胞に細胞死を引き起こすことから、分子標的薬とのカップリングにより、抗がん剤としての効果が期待できる。今後もヒストン誘導性細胞死に関し、機構解明を行っていきたいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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