研究実績の概要 |
ヒトiPS細胞からLeydig細胞の分化誘導において、まずヒトiPS細胞を用いて薬剤依存NR5A1強制発現iPS細胞を作製した。このNR5A1強制発現iPS細胞はmRNA,蛋白質レベルでNR5A1を発現することが確認された。この細胞を用いて胚様体を形成し、中間中胚葉を経てLeydig細胞へ分化誘導を行った。中間中胚葉のマーカーであるOSR1の発現をRT-PCRにて確認した。 分化誘導によって作製されたLeydig細胞の機能評価を行った。RT-PCRにてLeydig細胞のマーカーであるINSL3を発現し、Leydig細胞で特異的に発現する代謝酵素の17βHSD3をはじめとしたテストステロン産生に必要な代謝酵素の発現を認めた。また、LH受容体遺伝子であるLHCGRの発現も認めている。また培養上清中に著明な量のテストステロンの産生を認めた。 またこの細胞からは同時に副腎皮質ホルモンであるコルチゾールをアルドステロンの産生も認めており、副腎皮質に特異的な代謝酵素であるCYP11B1やCYP11B2CYP21A2やCYP11B1やCYP11B2も発現を認めている。 一方で女性由来のiPS細胞からNR5A1強制発現細胞を作製し同様に分化誘導を行うとLeydig細胞の分化誘導は認めず、INSL3や17βHSD3の発現も認めなかった。ただ、培養上清中ではテストステロンをわずかに産生を認めており、副腎由来の可能性が考えられた。 今回の研究によりヒトiPS細胞からLeydig細胞の分化誘導に成功し、今現在も他に成功した報告はない。
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