研究課題/領域番号 |
16K15690
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
宮田 康好 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380888)
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研究分担者 |
計屋 知彰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (00716574)
大山 要 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (50437860)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 免疫複合体 / 膀胱癌 / 動物モデル / 尿 |
研究実績の概要 |
尿路癌患者の尿中に存在する免疫複合体を同定するために、尿路癌、尿路感染症、尿路結石の患者、そして、泌尿器疾患を有さない健常人の尿の採取と保存を進めている。 一方、血液を用いた解析に至適化されているイムノコンプレキソーム解析法が、尿中の免疫複合体を正確に捕捉できるかを確かめるために、進行性尿路癌患者の尿を用いて解析した。その結果、数十種類の因子が、非癌疾患患者の尿に比し著明に増加していることがわかった。そこで、さらに、解析する検体数を増やし、健常人の尿も含めて解析したところ、(現状でその詳細は公表できないが)数種類の因子が特異的に増加していることがわかった。 ここで、免疫複合体の検出は定量的ではなく定性的であることから、その数種類の蛋白について、膀胱癌患者の組織と非癌疾患の患者の膀胱組織で発現を確認したところ、有意に膀胱癌の組織で発現が増加していることがわかった。 このように、まだその解析した検体数は少ないものの、尿を用いた免疫複合体の検出方法については、十分に信頼できる精度で施行可能なことが確認された。 また、これらの検討過程において、human antigen-Rの膀胱癌細胞における発現が、ある種の抗癌剤の効果予測因子になりうる可能性や、アニマルモデルを用いた予備実験において、緑茶ポリフェノールを膀胱癌化学発癌モデルに投与した際の分子生物学的な変化を見いだした。これらは、本研究とは直接関係しないものの、免疫複合体の検出法の精度の確認と向上を行なう過程で見いだされたものであり、本研究の目的や意義、重要性を再確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように、本研究で有益な結果を得るための最初のハードルであった血液用に調整されたイムノコンプレキソーム解析法でも、軽微な方法の改善により尿中からも正確に免疫複合体を検出できるようになった。さらに、実際に検出された因子が膀胱癌組織おいて高発現していることがわかったことで、何らかの臨床病理学的役割を果たしている因子を検出できていることが確認でした。 以上より、患者の尿を用いた解析は予定通りか、それ以上に進んでいると考えている。一方、動物モデルにおいては、手続きなどの問題もあり、具体的な解析まで行えておらず、総合的におおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
患者の尿や組織を用いた解析は、現状のペースで十分な研究成果が得られると考えている。一方、手続きなどで遅れ気味の動物モデルを用いた解析についても、その方法論はすでに確立できているため、倫理面に配慮しながら、可能な限りで解析する頭数を増やすことで予定通りに遂行できると考えている。
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