研究課題/領域番号 |
16K15691
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
鑪野 秀一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30624655)
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研究分担者 |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (80347103)
関 直彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 腎癌 / 膀胱癌 / ナノミセル |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、「治療抵抗性腎癌マイクロRNA発現プロファイル」に基づき、腎癌組織で発現が抑制されているマイクロRNAについて機能解析を施行した。今回、腎癌で発現が亢進していたmiR-1274aに着目し、anti-miRを用いた発現抑制による機能解析を行った。その結果、anti-miR投与群で細胞増殖・浸潤・遊走能が著明に抑制された。miR-1274aは腎癌臨床検体においては正常腎組織と比べて、その発現が上昇していた。その標的電子の一つとして癌遺伝子的作用を有するbone morphogenetic protein receptor type 1B (BMPR1B)がピックアップされた。癌抑制的作用を有するBMPR1Bは癌遺伝子的miR-1274aにより直接制御されることがルシフェラーゼアッセイで明らかになった。TCGAのデータベース解析により、BMPR1B低発現は生命予後不良因子であることが確認された。膀胱癌でも次世代シークエンサーによるmiRNA発現解析を行い、933個の既知miRNAと17個の新規miRNAの発現を解析し得た。933個の既知miRNAのうち、膀胱癌で有意に発現が低下していた60個のmiRNAの中でリストの上位のものから解析を行っている。このようにマイクロRNAを基点とした膀胱癌の新しい癌シグナル経路が明らかになりつつある。現在、in-vivoにおいてナノミセルを用いた癌抑制マイクロRNAのマウス尾静脈投与実験が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロRNA発現プロファイルに基づいて実験が進行中であり、結果を論文化できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに解析のスピードを速める。腎癌における分子標的薬の著効例や、膀胱癌におけるPD1抗体治療の著効例に対する次世代シ ーケンサーによる遺伝子・マイクロRNA発現解析も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロRNA発現プロファイルに基づいて実験は順調に進んでいるが、購入予定の実験試薬が、年度内の納品に間に合わないことが分かったため繰越金が生じた。この繰越金はそのまま試薬の購入にあてられる。
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