動物の”社会行動、向社会性”を担う神経修飾因子として注目されるオキシトシン(OXT)は、社会性低下を特徴とするASD(自閉症スペクトラム障害)の治療薬として期待されている。一方でOXTは以前より分娩誘発・促進剤として産科領域で広く用いられてきたが、最近外来OXTの胎児への暴露が自閉症発症のリスク因子となる可能性を示す疫学調査が報告され、マウスを用いた動物実験で外来OXTの胎児への影響を検討した。妊娠後期での高濃度OXT投与は胎児脳での虚血と幾つかの脳領域での細胞死を誘導している可能性を示したが、産仔の社会行動等に異常は見られなかった。引き続き妊娠期OXTの胎児への影響を精査する必要がある。
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