研究課題
本研究では、脱細胞化組織移植という再生工学技術を用いて、子宮・子宮内膜の再生を生体内で誘導し、再生過程を検証可能なマウスモデルを新規に確立し、再生を制御する分子生物学的機構の解明を目指して検討を行った。ドナーマウス由来の子宮に対して細胞成分を界面活性剤により除去した脱細胞化子宮組織をレシピエントマウス子宮の人工的欠損部位に移植したところ、移植後28日目には脱細胞化組織内に組織学的にも機能的にも正常な子宮組織が再生された。これにより、子宮再生機序を検証する新しい実験モデルとして、マウス脱細胞化組織移植モデルが確立できた。次に再生過程の組織像を時系列で検証したところ、管腔上皮の再生能が間質や筋層と比較し卓越していることが明らかになった。また、卵巣除去術後のレシピエントマウスを用いた検証により、子宮の再生に卵巣ホルモンは必須でないことが示された。子宮特異的STAT3欠損マウスを用いた検証によって、子宮上皮・間質・筋層の再生にSTAT3が重要な役割を果たしていることが示唆された。生理的な子宮内膜・子宮の再生過程として、マウス子宮では再生が開始する分娩直後、ヒト子宮内膜では再生が開始する月経期・増殖初期において、上皮に強く、間質・筋層に弱くSTAT3の活性化が認められた。今回新たに確立した脱細胞化子宮組織の移植モデルを用いて子宮再生機序の一端を解明することができた。今後の更なる研究の進展により、子宮再生医療の発展と不妊治療への応用が期待される。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 10件、 招待講演 8件)
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