研究課題/領域番号 |
16K15706
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小西 郁生 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (90192062)
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研究分担者 |
松村 謙臣 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20452336)
安彦 郁 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (20508246)
濱西 潤三 京都大学, 医学研究科, 講師 (80378736)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 卵巣癌 |
研究実績の概要 |
レンチウイルスベクターに組み込まれた、マウス遺伝子をターゲットとしたshRNAライブラリーを293FT細胞に感染させることで、レンチウイルスを産生させた。このレンチウイルスをマウス卵巣がん細胞株へ感染させることにより、安定した遺伝子導入を行った。この細胞株を同系マウスの腹腔内に接種してできた腹膜播種腫瘍を回収したが、腹膜播種組織内の腫瘍細胞をソーティングしてクローニングしたところ、shRNA配列が含まれていなかった。現在、各工程の問題を検証中であると同時に、他のマウス卵巣がん細胞株でも同様の実験を行っている途中である。 一方で、ヒト遺伝子をターゲットとしたshRNAライブラリーを安定発現するヒト卵巣がん細胞株を複数作成することができたので、これらの細胞株をヌードマウスに投与して、腫瘍細胞を回収し、同様のクローニングを試みる予定である。 また、shRNAを遺伝子導入したヒト卵巣がん細胞株を用いて、発現抑制によりanoikis耐性に関与する遺伝子の同定に成功し、そのひとつ、ABHD2について、機能実験を行い、シスプラチン耐性との関連を見出し、論文として報告した。 また、同様の手法でヒト卵巣がん細胞株を用いて、発現抑制によりHoechst 33342の高い排出能をもつSide Population細胞が増加する6つの遺伝子を同定した。Side Population細胞は癌幹細胞の形質の一つと考えられている。これらの遺伝子について、それぞれshRNAにより発現抑制株を作成し、コントロール株と比較して幹細胞形質を獲得しているかどうか、機能実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
shRNAライブラリーを導入したマウス卵巣癌細胞株のin vivoでの増殖・回収に成功していないため。
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今後の研究の推進方策 |
実験工程を再度検証し、引き続きマウス卵巣癌細胞株を用いたshRNAライブラリーの安定した導入をめざす。 一方で、マウス卵巣癌細胞株を用いた実験が不成功である場合、すでに樹立しているヒト卵巣癌細胞株を用いて、in vivo スクリーニングを含めた予定の実験を推進していく。 また、shRNAライブラリースクリーニングによりside populationを増やす、すなわち癌幹細胞化に関与する遺伝子を同定したため、これらの遺伝子の機能実験を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス卵巣がん細胞株のin vivoで形成した腫瘍を回収したところ、期待したshRNAが導入されていなかったことから、工程を再検証中である。このため次のshRNAのセカンドライブラリー作成に進むことができなかったため、予定通り計画が進行していない。
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次年度使用額の使用計画 |
工程を検証し、in vivo機能スクリーニングに成功すれば、セカンドライブラリー作成およびshRNAによる機能の検証実験に進む予定である。その際必要な試薬などの消耗品に使用する予定である。
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