研究課題
HM-1マウス卵巣癌細胞株をB6C3F1マウス皮下に接種し、マウスの食餌中のタンパク質の種類と量を変えることで、腫瘍の増殖が異なるかを調べた。食餌の種類を動物性タンパク質20%、動物性タンパク質10%、植物性タンパク質20%、植物性タンパク質10%の4群に分けて、HM-1細胞を皮下接種した腫瘍のサイズを比較したところ、動物性タンパク質20%群は、動物性タンパク質10%群や植物性タンパク質20%群よりも有意に腫瘍のサイズが大きかった。また、この結果は、腫瘍を接種後2週間過ぎた時点で、食餌の種類を変えても同様であった。HM-1マウス卵巣癌細胞株をB6C3F1マウス腹腔内に投与し、癌性腹膜炎を生じさせ、食餌の種類を動物性タンパク質20%、植物性タンパク質20%の2群の間で腹水の貯留(腹囲で評価)やマウスの生存期間が異なるかを調べた。その結果、植物性タンパク質20%群は動物性タンパク質20%群に比して、腹囲の増大が有意に少なく、マウスの生存期間が有意に延長した。同様の結果は、ID-8マウス卵巣癌細胞株をC57BL/6マウスの腹腔内に接種したモデルでも再現できた。以上より、マウス卵巣癌細胞の皮下接種モデル、癌性腹膜炎モデルいずれにおいても、食餌内の動物性タンパク質は植物性タンパク質に比して、腫瘍増殖を促進させることが明らかとなった。本結果により、動物性タンパク質を植物性タンパク質に変えることが、卵巣癌の予防や、卵巣癌と診断された患者の予後の改善につながる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
食餌内のタンパク質の種類の違いによる腫瘍増殖の違いについて、マウスモデルで再現性をもって明らかにすることができた。今年度は、その実験系をもとに、メカニズムを探索することができる。
タンパク質の種類の違いは、血清中のIGF-1、グルコース、インシュリンの濃度の違いや、腫瘍細胞のmTOR活性をもたらす可能性がある。本年度は、マウスモデルを用いて、それらを評価する。
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