研究課題
一般に、植物性食品を中心とした食生活が、癌の発生・再発・進展を抑制するという疫学データが知られているが、そのメカニズムは不明である。我々は、これまでに、マウス卵巣癌モデルにおいて、マウスに動物由来タンパクを摂取させた方が植物由来タンパクを摂取させた場合よりも腫瘍の増大速度が速く、担癌マウスの生存期間が短くなることを見出した。平成29年度には、マウス卵巣癌モデルを用いて、血清中のインシュリンやIGF-1の濃度を測定した。そして、インシュリンやIGF-1の濃度は、動物由来タンパクを摂取させた方が植物由来タンパクを摂取させた場合よりも高いことを見出した。さらに、マウスに形成された腫瘍組織において、動物由来タンパクを摂取させた方が植物由来タンパクを摂取させた場合よりも、mTOR活性を反映する4EBP1活性が高いことを見出した。したがって、動物由来タンパクを摂取している場合、植物由来タンパクを摂取している場合に比して、腫瘍組織におけるIGF1/Akt/mTOR経路の活性亢進をもたらし、それが癌の進展に関与する可能性がある。本研究によって、植物性食品を中心とした食生活が、癌の進展を抑制するメカニズムの一端が示された。本研究の成果は、癌患者に対する食事指導により、癌患者の予後改善につなげるための研究につながることが期待される。本研究の成果はOncotarget誌に投稿し、2018年4月に受理された(paper in press)。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件)
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