研究課題/領域番号 |
16K15710
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村上 優子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (80739912)
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研究分担者 |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (00363490)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生殖補助医療 / 胚培養 / 受精胚 / microRNA / 分子マーカー |
研究実績の概要 |
平成28年度は、検体集積、臨床データの蓄積、ならびに培養液中で検出可能なmicroRNAの同定を行った。まず、受精胚を培養した受精3日目と受精5日目の培養液を一組として計32組を集積した。臨床データについては、受精3日目のVeek分類と受精5日目のGardber分類のデータ、胚移植の有無、胚移植後の妊娠生率の有無、生児獲得の有無について調査した。32例のうち、11例について、胎盤特異的に発現するmicroRNAであるchromosome 19 microRNAs cluster region(C19MC領域)のmiR-517cならびに胎児・胎盤で有意に発現しているC14MC領域のmiR-323-3pの培養液中における発現の有無を定性的に解析した。11例の培養液中のmicroRNAの発現パターンは、受精5日目の培養液中にmiR-517cならびにmiR-323-3pの発現を検出し得たものは3例であり、いずれの胚もその後の妊娠成立ならびに生児を得たことが確認された。いずれのmicroRNAの発現も認めなかった2例は、胚移植後の妊娠は確認されなかった。いずれか一方のmicroRNAの発現が認められた6例のうち、2例は胚移植後の妊娠成立と生児の獲得が確認された。受精5日目の培養液中におけるmiR-517cならびにmiR-323-3pの発現解析は、良好な受精胚を選別するバイオマーカーに成り得ると期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の研究計画である検体集積、臨床データの蓄積、ならびに培養液中で検出可能なmicroRNAの同定を行うことができた。また、C19MCおよびC14MCのmicroRNAの発現パターンは、胚移植後の妊娠成立ならびに生児獲得につながる臨床転帰と関連していることが示唆される知見を得ることができた。H28年度の研究計画はおおむね実行された。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、主に検体集積と臨床データの蓄積を行った。そして、培養液で検出可能なmicroRNAの同定については、私どものこれまでの研究成果で既に定量法が確立しているC19MCおよびC14MCのmicroRNAの検出が培養液中で可能なのか否か検討した。11例のみの解析であったので、PCR解析はすでに現有している試薬を使用して行い、新規に購入する必要がなかったので、本研究費を使用しなかった。本年度の研究でC19MCおよびC14MCのmicroRNAの発現を培養液中に検出できることが明らかになったので、平成29年度は、平成28年度に実施する予定であった次世代シークエンス解析を実施して、広範囲に培養液で検出可能な受精胚由来microRNAを同定する予定である。そして、胚培養液中における受精胚由来microRNA検出による受精胚機能検査としての有用性の評価ならびに培養液を用いた受精胚の非侵襲的着床前診断の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は、主に検体集積と臨床データの蓄積を行った。そして、培養液で検出可能なmicroRNAの同定については、私どものこれまでの研究成果で既に定量法が確立しているC19MCおよびC14MCのmicroRNAの検出が培養液中で可能なのか否か検討した。11例のみの解析であったので、PCR解析はすでに現有している試薬を使用して行い、新規に購入する必要がなかったので、本研究費を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の研究成果でC19MCおよびC14MCのmicroRNAの発現を培養液中に検出できることが明らかになったので、平成29年度は、平成28年度に実施する予定であった次世代シークエンス解析を実施して、広範囲に培養液で検出可能な受精胚由来microRNAを同定する予定である。そして、胚培養液中における受精胚由来microRNA検出による受精胚機能検査としての有用性の評価ならびに培養液を用いた受精胚の非侵襲的着床前診断の可能性を探る。最終的に研究計画は全て実施されるので、研究費も計画的にすべて使用される予定である。
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