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2016 年度 実施状況報告書

新規がん抑制遺伝子の機能不全による卵巣がんの発生機序―治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K15714
研究機関地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所)

研究代表者

山田 秀和  地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (10254012)

研究分担者 島 礼  地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (10196462)
伊藤 しげみ  地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (80600006)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード婦人科腫瘍学
研究実績の概要

BRCA1は、卵巣がんや乳がんに関連するがん抑制遺伝子である。BRCA1は、DNA修復タンパク群を束ねてDNA修復に働く。その機能はリン酸化によって制御されているが、その詳細は明らかではない。申請者らは、独自に、Ppp6c(PP6の触媒サブユニット)がBRCA1に結合すること、さらに脱リン酸活性を持たない変異型Ppp6cはより強く結合することを見いだした。これは、PP6がBRCA1の脱リン酸化を制御し、PP6の異常によりBRCA1は異常過剰リン酸化状態になることを示唆した。そこで、PP6は卵巣がんや乳がんの発生に重要な酵素であるとの仮説を持ち、Prognoscanを調べた。卵巣がん患者コホート研究(オーストラリア、DATASETGSE9891)ではPpp6cの遺伝子発現が低い症例において、生存率が低い(p=0.042)ことが示された。PP6には卵巣がんの発症・悪性化を抑える働きがあることが示唆された。
我々は、PP6の機能不全と腫瘍化の関係を探るため、まず、最も簡便かつ信頼性のある皮膚発がん実験の系を採用している。マウス重層扁平上皮で、変異型KRASとPpp6c欠損を同時に生じさせるという実験を行い、驚くべきしかし予想通りの結果を得た。その結果、我々は、PP6は、RASが異常に活性化した場合、その下流のどこかで抑制的に働き、組織の過形成を抑える役割があるのではないかと考えている。1年目は、実験1により、仮説「PP6が、がん遺伝子による過形成を抑えている機能をもつ」の証明を行っている。また、実験2により、仮説「Ppp6cは卵巣がんの抑制遺伝子としてはたらく」の検証を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験1:マウス扁平上皮における、2重変異(Ppp6c欠損とKRAS変異)の導入-- 準備済みのマウスを掛け合わせて、タモキシフェンにより、扁平上皮特異的に、以下の変異を誘導できる3種類のマウスを作製し、発がん実験を行っている。 ①2重変異(変異型KRAS+Ppp6欠損)マウス:K14-CreTAM; KrasLSL-G12D/+; Ppp6cflox/flox ② 変異型KRASマウス:K14-CreTAM; KrasLSL-G12D/+; Ppp6c+/+ ③ Ppp6c欠損マウス:K14-CreTAM; Kras+/+; Ppp6cflox/flox タモキシフェンの腹腔注射によってKRAS変異または、Ppp6cの欠損を誘導させる。2重変異(Ppp6c欠損+KRAS変異)導入後の組織を、3週間後まで3日毎に採取し、単独変異(Ppp6c欠損、またはKRAS変異)のそれと比較したところ、2重変異においては、細胞増殖が著しく亢進していることがわかった。
実験2:マウス卵巣における2重変異(Ppp6c欠損とKRAS変異)の導入 -- 卵巣に2重変異(変異型KRASとPpp6c欠損)を導入させるために、Ppp6cflox/flox; KrasLSL-G12D/+マウスを用いる。また、卵巣に変異型KRASのみを導入するために、KrasLSL-G12D/+マウスを用いる。それぞれ、開腹手術により卵管漏斗を介して、Ade-CREを感染させることで、卵巣表層上皮細胞に、2重変異(変異型KRASとPpp6c欠損)または変異型KRASを導入させた。

今後の研究の推進方策

実験1については、PP6の欠損による腫瘍発生について、免疫組織学的手法を用いて、その詳細を解析する。
実験2:卵巣がん組織について、以下の2点について調べる。①Ppp6c mRNAの発現量(リアルタイムPCR)②Ppp6cタンパクの量(ウエスタンブロット)これら異常の有無と、予後の関連について解析する。治療開発のために以下について検討する。

次年度使用額が生じた理由

消耗品費が、想定よりも少なかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度の消耗品費に上積みし、実験の迅速化を図る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Clinical efficacy of nedaplatin based concurrent chemoradiotherapy for uterine cervical cancer2016

    • 著者名/発表者名
      Kagabu M, Shoji T , Murakami K, Omi H, Honda T, Miura F, Yokoyama Y, Tokunaga H,Takano T, Ohta T , Shimizu D & Sato N, Soeda S , Watanabe T, Yamada H, Mizunuma H, Yaegashi N Nagase S,Tase T, Sugiyama T
    • 雑誌名

      a Tohoku Gynecologic Cancer Unit Study. Int J Clin Oncol

      巻: 21(4) ページ: 735-740

    • DOI

      10.1007/s10147-016-0946-4

    • 査読あり
  • [学会発表] 放射線治療後に局所に病巣が残存した子宮頸癌に対する子宮全摘は有効か?2016

    • 著者名/発表者名
      山田秀和、藤田信弘、大友圭子、田勢 亨
    • 学会等名
      第39回日本産婦人科手術学会
    • 発表場所
      宮城県・仙台市
    • 年月日
      2016-11-12 – 2016-11-13

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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