研究課題/領域番号 |
16K15715
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
常木 雅之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 外来研究員 (40714944)
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研究分担者 |
荒川 博文 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (70313088)
中村 康之 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (90569063)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 男性不妊 / 酸化ストレス / 精子 / ミトコンドリア / Mieap |
研究実績の概要 |
本研究はMieapノックアウトマウスの解析から明らかとなった、Mieapのミトコンドリア品質管理機構の精子ミトコンドリア・酸化ストレス制御の役割について、そのメカニズムの詳細を明らかとし、ミトコンドリア由来酸化ストレスに起因する男性不妊に対する革新的な治療戦略を確立することにある。不妊は我が国の社会問題として深刻であるが、精子に起因する男性不妊の治療法はおろか、その病理も未解明のままである。本研究は、がん研究で新規同定されたミトコンドリア品質管理機構を制御する蛋白質Mieapが、予期せず精子運動能を明瞭に制御することを端緒とした萌芽的研究であり、精子無力症の分子病理にはじめて迫る可能性が極めて高く、精子におけるMieapの分子機能を明らかにするとともに、精子運動能改善という男性不妊の根本的な革新的治療戦略基盤を確立することを目的としている。当初の研究実施計画に従って、精子におけるMieap相互作用分子の探索を試みたが、精子において特異的にMieapが結合する相互作用分子の同定には至らなかった。そこで、野生型及びMieap欠損マウスの精巣・精巣上体頭部・精巣上体体部・精巣上体尾部のそれぞれから蛋白質を抽出し、網羅的なプロテオミクス解析によって2群間の比較検討を行った。興味深いことにある種のセリンスレオニンキナーゼや解糖系関連代謝酵素がMieap欠損マウスの精巣上体頭部・体部・尾部において発現レベルの有意な上昇を認めた。また複数の抗酸化物質がMieap欠損マウスの精巣・精巣上体頭部・精巣上体尾部での上昇傾向を示した。これらの結果は、Mieap欠損マウスにおける精子ミトコンドリア由来酸化ストレスの増加とそれによる精子運動能低下の原因に関連する変化と推察された。今後はこれら分子の関与についてさらに詳細な解析を進める予定である。
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