研究課題/領域番号 |
16K15720
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
猪原 秀典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00273657)
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研究分担者 |
中川 崇 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (40610374)
谷山 義明 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (60372611)
巽 光朗 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (60397700)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 解糖系 / MCT4 / ノックアウト / 頭頸部扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでにFDGの取込みで規定されるmetabolic tumor volume (MTV)が頭頸部扁平上皮癌の独立した予後因子であることを明らかにしてきた。我々は更にグルコースを細胞内に輸送するトランスポーターであるGLUT1をノックダウンすると癌細胞の増殖が抑制され放射線感受性が高くなることを確認した。これは糖代謝が癌治療の標的となることを示唆するものであるが、GLUT1は正常細胞でも広く発現することから、これを治療標的とすることは不可能である。そこで癌細胞で亢進している解糖系に着目し、その最終経路で乳酸を細胞外に排出するトランスポーターであるMCT4に着目し本研究を計画した。本研究では、1)頭頸部扁平上皮癌の皮下移植腫瘍モデルにsiRNAを投与してMCT4をノックダウンして腫瘍の増殖が抑制され放射線感受性も高くなること、2)MCT4ノックアウトマウスを作製して表現型を解析し、MCT4を治療標的としても問題が無いこと(MCT4標的治療で重篤な合併症が出ないこと)、を証明することを目的とした。 皮下移植腫瘍モデルの実験系は開発が難航したため、頭頸部扁平上皮癌培養細胞株を用いMCT4の発現をCRISPR/Cas9遺伝子編集システムを用いてノックアウトした実験系の開発を行った。ベクターをlipofectinで導入し数千例のスクリーニングを行ったがクローンを樹立することは困難であったため、現在electroporationの条件最適化を完了し、スクリーニングを進める予定である。 一方、MCT4ノックアウトマウスのホモ個体は問題無く作製することができた。予想された運動能の低下などは認めなかった。現在はメタボローム解析の準備を進めている。 こうしたことからMCT4を治療標的とすることは合理的と考えられるが、更なる研究の継続が必要である。
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