研究課題
頭頸部癌では、各種治療が開発されている現在でも、外科治療がゴールドスタンダードである。手術では病変を遺残すれば再発し、逆に大きく切除した場合には手術侵襲が大きくなり術後のQOLが低下するという問題がある。切除マージンは、個々の病態に応じた距離で設定するが、ルゴール(複方ヨード・グリセリン)を用いた観察を参考にすることが多い。しかし、ルゴール染色は色落ちしやすく、微小病変(5 mm以下)を検出できないという問題点がある。そこで、本研究は、最新の蛍光色素プローブを用いて、頭頸部微小癌を可視化できるのかを検証し、将来的に手術による癌の取り残しを無くすことを目指した研究である。平成29年度は、28年度に引き続き、頭頸部腫瘍のフォルマリン固定パラフィン包埋組織を用い、薄切切片を作製し、抗Gamma-glutamyltransferase 1(GGT1)抗体を用いて免疫染色とHE染色を行った。用いた頭頸部腫瘍は、口腔癌、中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌、副鼻腔癌、原発不明癌、耳下腺腫瘍で、組織型は扁平上皮癌、腺房細胞癌、多形腺腫であった。GGT1発現細胞と腫瘍部は一致せず、またGGT1の発現は非常に低かった。また腫瘍部の細胞核のヘマトキシリンの染まりが非常に弱いことから、術前の化学療法または放射線の影響で細胞の状態が良くなく、GGT1の発現と癌の関連を正確に評価できないと考えられた。今後、術前の生検検体を用いて、再度GGT1の免疫染色をやり、評価することにしている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Oncotarget
巻: 8 ページ: 85368-85377
10.18632/oncotarget.19898
Oncology Letters
巻: - ページ: 印刷中
Japanese Journal of Clinical Oncology
巻: 47 ページ: 1038-1046
10.1093/jjco/hyx097